第17章 喫茶店エトワールでのひととき
第222話 一日目の練習が終わって、喫茶店エトワールで
一日目の練習が終わった。
「ありがとうございました」
今日は
喫茶店エトワールは朝から昼にかけては喫茶店だが、夜は晩ご飯が食べれるちょっとしたレストランの様になる。洋食、中華、和食と何でも食べれるファミリーレストランのようになる。
六月に
店の片隅で、すみれと
「私たちに気を遣わなくていいから、みんなと食事をすればいい」
と言うが、園香と真美は、すみれや美織と食事をしたいと思った。
「由奈ちゃん、いい感じですね」
美織がすみれに話し掛ける。
「クララの子? そうね。真面目だよね。あの子」
「素直というのかな、なんか、全部吸収してくれる感じなんです」
「そう。それがいい方向にいってくれるといいんだけど、なんというか、ちょっと主張に欠けるかなって思ったところもあってね」
「でも、今日のすみれさんのアドバイスで変わるんじゃないですか」
「そうだといいわね」
美織とすみれが話しているのを園香と真美がじっと聞いていた。
「あなたたち二人もいいわよ。園香ちゃんはよくなってきてる。真美ちゃんは、なんとかもっと使えないかなあと思ってるんだけど」
「いえいえ、十分使ってもらってます」
真美が謙遜する。
「古典は物語も振りも決まってるから、どうにも途中からだと難しいのよね」
すみれが呟く。
「そうですよね。それに真美ちゃん上手だから『どこかでもっと使えないかなあ』って、みんな思ってるんだよ」
「いえ、そんな」
「ディベルティスマンのどこかに入れられないかなあ」
すみれが呟くのを聞き、美織が言葉を添える様に言う。
「スペインを女性二人、男性二人の四人の構成にするとか」
「……」
すみれが真美を見つめる。
真美が美織と園香を交互に見て、慌てて首を振りながら、
「え、いえいえ、あれは奈々ちゃんの踊りですから」
「すみれさんが
美織が本気か冗談かわからない微妙な口調で言う。
「え、でも、なんか奈々ちゃんとの関係が微妙になりそうで」
慌てる真美。
「微妙って、どうゆうこと、仲良く踊ればいいじゃない。後から入ってきて踊るっていう点では『花のワルツ』も『終曲のワルツ』も一緒でしょう。それとも『スペイン』は二人で踊ったら、あからさまに、あなたの
「いえ、とんでもない」
「とんでもない? そんな風には聞こえないけど……まあ、あなたをもっと使いたいのは、皆、同意見だと思うよ」
すみれがグラスの水を飲みながら呟く。
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