第216話 花のワルツのリハーサル前に

 今回リハーサルの手伝いに来てくれた青山青葉あおやまあおばバレエ団のメンバーが総動員で『花のワルツ』の振りと全体の動きの確認を始める。この踊りは『雪の場』の踊りと異なり大人クラスのレッスン生たちから高校生、中学生、小学生、キッズクラスの生徒たちまで、そして、花村バレエのあやめ、バレエ教師である北村、秋山も入り、ゲストのダンサーも全員踊る。すみれもこの踊りに入る。

 キッズクラスのゆい美織みおりやすみれと同じ踊りが踊れるのが嬉しいようで二人のところに駆け寄っていく。それに合わせて真由や数人のキッズクラスの生徒が集まって来た。美織と一緒に佐由美や麗子、康子がいた。ゆいは久し振りに青山青葉バレエのキッズクラスで習った佐由美や麗子に会えて嬉しそうにする。佐由美が唯と真由の頭を撫でながら、

「唯ちゃん、真由ちゃん、久し振りねえ」

 と言うと、唯が満面の笑みを浮かべ、

「佐由美先生、麗子先生」

 と言って抱きつく。真由も佐由美に抱きつく。


 美織が康子にダンサーたちが移動する動線を注意して見て欲しいと頼んでいた。衣装の由香と一花いちかがメモを取りながら二人で話している。


 それぞれのダンサーたちが自分の振りと動きを確認する。千春も他の大人クラスのレッスン生たちと踊りと全体の動きを確認する。大人クラスの男性ダンサーも千春や高校生、中学生ダンサーたちと流れを確認する。唯と真由も走って行き一緒に自分の通る動線を確認する。


 園香そのか恵人けいとと一緒に振りの確認と全体の中での動き移動の確認をする。とおるとあやめ、すみれと美織もそれぞれの振りを確認する。


 青山青葉バレエ団では流すように確認していた古都ことげん、すみれも、今回の『花のワルツ』では一つ一つ入念に確認している。周りで踊っているダンサーがプロのバレリーナではない。美織も周りの生徒たちとコミュニケーションを取りながら、お互いに確認しているようだった。


 鏡の前では真理子と青葉あおばが話をしている。とおるが二人のところにやって来た。そして全員の方に目を向ける。


「それでは皆さん、全員で一度、最初から踊りを確認しましょう」

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