第202話 バレエ『ライモンダ』
バレエ『ライモンダ』
ライモンダ
ジャン・ド・ブリエンヌ
アブデラフマン
白い貴婦人
公演は素晴らしくリハーサルの時以上に出演者は輝いて見えた。リハーサルで見た
主役の
実際に
彼女の踊るライモンダは、踊りや技術、表現力だけでなく、何か、彼女が内にある、そういうすべてのものがオーラとなって
主役とは……園香は、彼女に一つの大舞台の主役を任されている者の威厳というものを教えられた気がした。
華やかな実力あるダンサーたちが華々しい技術を見せる中に、彼女がスッと現れるだけで見ている者の心を持っていかれる。吸い込まれるような魅力。鳥肌が立つ感覚を覚える。彼女は一体何者なんだろう……園香は言葉を失い拍手することさえ忘れ、
◇◇◇◇◇◇
舞台が終わって、控え室に行こうと真美に誘われ、みんなで行った。
「お疲れ様」
真美が声を掛けると、
「ありがとうな、今日は皆で観に来てくれて」
「素晴らしかったです。本当に言葉を失いました」
園香の口から自然にそんな言葉が出た。
「周りの皆や先生方、スタッフが素晴らしかったからな」
謙虚な
「
真美の言葉に、
「周りのスタッフが最高の技術で舞台を創り上げてくれる。先生方も、一緒に踊ってるダンサーもな。そして、今日、観に来てくれはったお客さんもや。そういう皆さんのお陰で、今日一日だけ、ひとときだけ、今日の舞台という夢の空間が出来上がってるて思てる。私は、そのみんなのお陰で出来上がった夢の空間で踊るだけや」
この一日のためにダンサーが、先生方が、スタッフたちが、そしてお客さんたちが創り上げた、ひとときの夢の空間。
園香はその言葉に強く心を打たれた。主役とは……ということを教えられた気がした。
「園香ちゃんいうたな」
「はい」
「十二月には、この舞台に出た皆で花村バレエの公演観に行こうて話してる。楽しみにしてるから」
「ありがとうございます」
「こっちこそ、ありがとうや。今回は遠いとこから観に来てくれて」
首を振る園香に、
「ダンサーもそうやけど、
そう言って、園香の手を握って、もう一度、微笑み
「
「うん」
大きく頷きながら返事をする唯。唯と瑠々が抱き合うようにしながら楽しそうにくるくる回っている。園香や真美、美織たちもその姿を微笑ましく見つめた。
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