第196話 公演前日のホール前で
公演の前日。ホールでのリハーサルが行われる。この日も
大きいホールだ。ホールの前に着くと
もう出演者たちはリハーサルが始まっている。ホールの客席に通じる階段を上り、客席の入り口まで行くと、真理子とあやめ、
そろそろ中に入ろうとしたとき、一人の女性が小さな子どもを連れてホールにやって来た。キリっとした感じの女性はバレエ関係者のように見えたが、手をつないでいる子は、昨日、稽古場にいた
「おはようございます」
思いがけず向こうから挨拶されて少し驚いた。しかし、よく考えてみれば、今回の公演はいろいろなバレエ教室の合同公演である。知らないバレエ関係者に顔を合わせることも多い。
が、次の瞬間、女性の表情が変わった。
「あら、真美ちゃんやない」
真美も驚いた表情で返事を返す。
「あ、
「真美ちゃん、また、バレエ始めたんやてねえ」
「うん」
「よかったわ。今は四国のなんとかいう有名なところでやってるて聞いたけど」
「なんとかって、花村バレエっていうとこです。この方々と一緒のとこです」
「あ、初めまして。
「なんや、まるで美香先生とこが託児所やなあ。ほんま、今日がどんな日か、わかってるん?」
「今日は本番前日のリハーサルの日やん。真美ちゃん、
そう言って、客席の方に早足で歩いて行った。
園香たちは呆気に取られて、その様子を見ていた。
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