第14章 新しい出会い 関西で

第190話 大阪で再会 宮崎美香バレエスタジオ

 リハーサル会場となっている宮崎美香バレエスタジオ本部教室の最寄り駅で美織みおりやすみれ、そして、ゆい、唯のお母さんと待ち合わせをしていた。園香と真美が待ち合わせ場所に行くと、もう、唯と唯のお母さんが待っていた。唯は白のワンピースに白のストローハットという服装だった。

「おはよう唯ちゃん」

「おはようございます」

 唯がにこにこしてやってきた。

 少しして美織たちがやって来た。美織は白のワンピースに白いストローハットという唯と同じ服装だ。唯が美織を見て嬉しそうに微笑む。美織も唯に微笑む。

「唯ちゃん、おはよう」

「おはようございます」

 美織が唯に微笑みながら、

「唯ちゃん、私と一緒だねえ」

 というと、唯がにこにこしながら、

「うん」

 と言って大きく頷いた。


 真美を先頭にスタジオに向かう。


「ここや。美香先生とこのスタジオ。今日は最後の稽古場でのリハーサルやそうや。どうぞ、遠慮なく入って。私の家やないけど」

 入り口に宮崎美香バレエスタジオという看板がある大きな建物。ここが真美が通っていたバレエスタジオなのかと園香は少し驚いた。想像していたより大きなバレエスタジオだと思った。

 青山青葉あおやまあおばバレエ団は、さすがに行く前から名前も知っている名門バレエ団だったが、宮崎美香バレエスタジオは真美に出会うまで知らなかった。花村バレエのような規模の個人が経営するバレエスタジオをイメージしていたが、来てみると、かなり大きいバレエスクールということが、この入り口を見ただけで分かった。

 今回、関西のバレエ教室から選抜されたダンサーが一堂に集まり公演に出演する。作品はバレエ『ライモンダ』だ。そして、その主役ライモンダは東京で出会った橘麗たちばなうららだ。


 建物に入ると二階に上がる階段があった。二階に上がって、すぐのところに受付があった。受付には誰もおらず、その先に教室がある。

 二階まで来ると、華やかな音楽が聞こえてきた。バレエ『ライモンダ』第三幕の『マズルカの踊り』の曲だ。


「広い」

 教室に入った園香そのかの口から、思わずその言葉が出た。真美が微笑み。

青山青葉あおやまあおばほどじゃないけどな。ちなみに、ここ三階も稽古場やで。三階までやけど」

「へえ」

「三階はプリンシパル専用の稽古場とかやないで」

「そ、そうなの」

「そうや。プリンシパル専用の部屋とか言ってたら、私がおらんなったら、空き部屋になるやん」

「ええ……」

「冗談、冗談」

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