第185話 そうして、七月は終わった

「私たち、その『ライモンダ』の公演、観に行くんだよ」

 瑞希みずきが微笑みながら園香そのかと真美に言う。

「え、そうなんですか。実は私たちも行く予定なんです」

 園香たちが驚いて言うと、それを聞いた美織みおりたちも驚いた。そして、園香が、ゆいゆいのお母さんも、その公演を観に行くというと更に驚いた。


 すみれが「多分、真理子先生と青葉あおば先生も来る」と言う。それに合わせて古都こと恵人けいとも来るというのに、園香と真美も驚いた。


 真美は関西にバレエ関係の友達が多く、今回の公演にも知り合いがたくさん出演しているという。真美は、習っていた宮崎美香みやざきみかという先生に呼ばれて、公演二日前のリハーサルと前日のホールでのリハーサル、そして公演と三日間見学させてもらえることになっていた。

 美織や瑞希、唯と唯のお母さんもリハーサルから観たいといい、すぐに真美が宮崎美香に連絡を取って頼むと、全員見学することが許された。結局、皆で二日前のリハーサルから一緒に行動することになった。


 唯は、また、美織やすみれと一緒というのが、すごく嬉しいようだ。そして、この公演は宮崎美香だけでなく、宝生鈴ほうしょうりんも関わっている。

 当然、直前のリハーサルにも、本番にもやって来る。宝生に習っている佐和、理央りお、真由の姉妹も一緒に観に来ることになった。

 また、八月に大阪で思わぬ形で皆が顔を合わせることになった。


 そして、園香たちは、このリハーサルと公演で、橘麗たちばなうらら藤沢華ふじさわはなだけでなく、強烈な個性と実力のあるダンサーたちをの当たりにすることになる。


 そうして、七月は終わった。

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