第175話 詩保と葉子
昨日のレッスンの噂を聞いて、その日のキッズクラスは全員レッスンに参加した。そして、その日も見学希望者や体験レッスンの子が数人やって来た。レッスン前に秋山が見学に来た親子にレッスンの内容やスケジュールを説明する。
見学席では、お母さんたちが昨日のレッスンのことやバレエフェスティバルの話で盛り上がっている。体験レッスンに参加する慣れない子たちに
北村、秋山と一緒に
二人は花村バレエにも時々顔を出すことがあり、北村や秋山、園香や花村バレエの生徒もたちも彼女たちのことをよく知っていた。
「おはよう」
「あ、詩保さん、葉子さん。おはようございます」
園香たちが二人に挨拶する。
「北村先生、秋山先生、今日は急にごめんなさい」
「いえいえ」
北村と秋山が微笑む。
「園ちゃん、頑張ってるね」
詩保も葉子も園香のことはよく知っていた。園香の後ろで真美が会釈する。詩保と葉子は真美に気が付いて笑顔で話しかけてくる。
「あなたは
「はい、おはようございます」
「はじめまして」
二人とも真美に丁寧に挨拶する。
「いろいろなコンクールで、何度も踊りを見させて頂いてます。真美さんの『エスメラルダ』好きですよ。あと、キトリとダイアナも」
詩保が微笑む。
「ほんと、ほんと、私も大好きよ。すごく上手ですよね」
葉子も真美に微笑みながら話しかける。
「あ、いえ、でも、ありがとうございます」
詩保も葉子も真美の踊りを知っている。そのやり取りを隣で見ていた園香に振り向き、
「真美ちゃんのことは私たちもコンクールなんかで見ることがあって、踊りは何度か見たことがあったの」
真美のことを知っていることにも驚いたが、急に二人が来たことに驚いた園香だった。それを察したのか、詩保が言葉を添える、
「そうそう、昨日、あやめと真理子先生に連絡して、今日のレッスン見学させて頂けるよう、お願いしてあったの。北村先生にも言ってあるから」
「そうなんですか」
「詩保先生、葉子先生、こちらへどうぞ」
北村と秋山が稽古場の前に構えた席に二人を案内する。
そんな話をしていると階段の方が騒がしくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます