第12章 七月の終わりに
第164話 七月の終わりに
東京から帰ってきた
その日は真美と待ち合わせしていた。今日は真美と一緒に花村バレエのレッスンに行く約束をしていた。
千春さんがメロンクリームソーダを持って来てくれる。鮮やかな緑色に白いバニラアイス、真っ赤なチェリーが美しい。夏の飲み物だ。
「美味しそう」
「美味しいに決まってるじゃない。大学の試験はもう始まってるの?」
千春さんに聞かれて、
「まだなんです。八月に入ってから」
「ふーん、大変ね、学生さんは。まだ、バレエフェスティバルの夢が覚めてないんじゃない?」
「本当にそうですよ。なんか、その前の
「本当ね」
千春が微笑む。
そんな話をしていたら真美がやって来た。
「あら、いらっしゃい。真美ちゃん、今日はレッスン行くの?」
千春が真美にメニューを渡しながら聞く。
「はい、行ってみようと思ってます。なんか、いろいろあったけど、私まだ花村バレエにレッスンで行くの初めてなんです」
「そうなんだよね。真美ちゃんは、もうすっかり、花村バレエの人みたいな感じだけど、きちんと教室のレッスンに来るのは初めてなんだよね」
「あ、すみません、え、と」
「千春って呼んでもらっていいのよ。皆そう呼んでるから」
「あ、じゃあ、千春さん、ミックスジュース、お願いします」
千春が微笑んで頷く。
◇
「ねえ、
「それが、まだ、来てないの。いつから来るのか、北村先生たちも聞いてないみたいで」
「そうなんや、美織さんが帰ってきたら、一番喜ぶんは
「そうだね。私、時々、キッズクラスを手伝わせてもらってるんだけど、この前も唯ちゃんから聞かれたよ。美織先生は? って」
「かわいいな」
喫茶店から見える通りには観光客らしい人達が行き交う。もうすぐ大きな夏祭りもあり賑やかになる。
ジュースを飲んで、二人で稽古場に向かった。
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