第160話 バレエフェスティバル一日目を終えて

 バレエフェスティバル一日目。Aプログラムが終わった。園香そのかはロビーで待ち合わせていた恵人けいとと真美に会う。その後、花村バレエの皆や青山青葉あおやまあおばバレエ団の人達に会いいろいろと話をした。

 バレエ団の人達の中には、その日が最後になるかもしれない人もいたので、真美とゆい、唯のお母さんと一緒に、今回、練習に参加させてもらったお礼を言って回る。

 真美の友人、うららはなとも話ができた。二人は十二月に花村バレエの公演を観に来てくれると言ってくれた。

 千春たちAプログラムだけ観て帰る人達は明日の飛行機で帰るからと言って早々に帰って行った。唯と唯のお母さんはBプログラムの一日目を観て帰るということで、話を聞くと帰りの飛行機も園香と真美と同じ便で帰ることがわかった。真理子とあやめはBプログラムは二日目の舞台を観るということで帰りが別になる。

 そんな話をいろいろと話しているとロビーにいた人達もまばらになる。それでもパンフレットを手にダンサーたちが出てくるのを待っている人もいるようだ。


 しばらくして、出演者たちが出てき始めた。園香はBプログラムの一日目を観て帰る。その日、会えなかったら美織みおりやすみれ、古都ことに挨拶できないという思いもあった。

 美織と優一、すみれとラクロワ、古都とロレンス、それにルエルとディディエも出てきた。こんなすごいダンサーたちが、園香たちが観に来てくれたことにお礼を言ってくれる。

 真美に誘われて待っていたうららはなも信じられないという表情をしながらも握手してもらったり、サインをもらったりしていた。


「今回はいろいろとありがとうございました」

 園香がすみれや古都、美織にお礼を言う。

「いえいえ、私たちもいろいろ手伝ってもらって、本当に助かったのよ」

 すみれが微笑む。

「また、すぐ花村バレエに行くから、今度は一度、すみれが一人で行くんだっけ」

 古都が微笑んで、すみれに視線を向ける。頷くすみれ。

「そうね。七月、八月はバレエ団の人は来ないんでしょう。まあ、美織たちがいるし、七月はもう終わるけどね。次、皆が来るのは九月でしょう」


 そんな話をした後、最後に皆で一緒に写真を撮った。


 そして、劇場を後にした。


 園香と真美、瑞希と恵人の四人が一緒に帰る。

「明後日の舞台を観て、その次の日帰るんだよね」

「はい、本当に長い間ありがとうございました」

「まあ、まだ、二日いるじゃん。また、いつでも来てよ。東京に来るときは言ってくれれば泊めてあげられるよ」

「ええ、そんな」

「いいんじゃない。どうせ泊まるとこいっぱいあるし」

 恵人が微笑む。

「まあ、そうですね」

 園香も微笑む。


「本当に、二人とも東京に来たときは、いつでも家に来てもらっていいから、また、青山青葉あおやまあおばバレエ団にも来てよ。まあ、美織さんとすみれさんはいないけど」

 恵人の言葉に、園香は青山青葉あおやまあおばバレエ団も、いよいよ少し変わるという寂しさのようなものを感じた。瑞希も同じことを感じていたようだ。

「そうよね。二人は花村バレエに行くんでしょ。やっぱり、私も花村バレエに行こうかなあ」

「僕も行こうかな」


「ええ」

 恵人の言葉に皆で微笑む。


 そうして、バレエフェスティバルの一日目が終わった。

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