第153話 バレエフェスティバル前夜(一)

 いよいよバレエフェスティバルが始まる。明日は劇場リハーサルだ。明後日から四日間かけてバレエフェスティバル開催される。Aプログラムが二日間、続いてBプログラムが二日間というプログラムになっている。

 園香そのかはAプログラムの一日目のチケットとBプログラムの一日目のチケットを買っていた。真美と恵人けいとも偶然同じ日のチケットを買っていた。他の花村バレエの生徒や青山青葉あおやまあおばバレエの団員たちはそれぞれ一回しか見ない者もいるし、二つのプログラムを見る者もいる。いつのプログラムを見るかも様々だった。

 さすがに、この舞台は園香や真美、ゆいや花村バレエの面々は楽屋に行くことはできない。花村バレエの者ばかりでなく、恵人や青山青葉あおやまあおばバレエ団の団員たちも楽屋に行くことはできなかった。

 瑞希みずき美織みおりに付き添って楽屋まで行くことが許可されている。青葉あおばと真理子も許可されているようだが二人とも当日は客席で観ると言って楽屋の方には行かないようだ。

 バレエフェスティバル前日の劇場リハーサル日、瑞希は美織に付いて劇場入りするということで早い時間に出て行ってしまった。いつも瑞希と行動していた園香と真美は結局その日も青山青葉バレエの普段のレッスンに参加した。そして、レッスンの後は恵人やバレエ団の数人と一緒に食事をした。

 団員の人たちも立て続いた公演が終わり一段落という感じだ。既に次の舞台練習に入っているダンサーもいるが、どの団員も次の舞台まで少し余裕がある感じだった。

 園香と真美はこっちに来て二週間ほどになるが、瑞希の家とバレエ団を往復する毎日で他の場所にほとんど行ってない。そうかといって美織やすみれ、瑞希がバレエフェスティバルの準備をしている時に遊びに行くという気にもなれなかった。

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