第140話 バレエ『白鳥の湖』第三幕(二)
スペインの踊り
エキゾチックな雰囲気を
フラメンコの衣装でもお馴染みのファルダというスカート。ファルダは
中盤はゆったりしたテンポで大きく体を使って踊る。終盤は曲のテンポが速くなり、男女とも素早く繊細な踊りになる。
踊り終わり客席から大きな拍手が響く。
踊り終わると、
ナポリの踊り
松岡美羽、厚木美和、川原誠一、金井裕司
金管楽器コルネットが爽やかに奏でる。トランペットに似た楽器だ。ニ長調のやさしい音色から始まる。
女性はタンバリンを持って踊る。後半は一転してテンポの速いタランテラの舞曲になる。
衣装は華やかな彩の衣装。
ルスカヤ(ロシアの踊り)
久宝すみれ
管弦楽器の独奏の後、バイオリンのカデンツァの序奏。バイオリンの独奏から弦楽器のピチカート。
舞台にすみれが登場する。登場しただけで客席から大きな拍手が起こる。指揮をする
指先に白いハンカチ、頭飾りのココシニクも美しい。白を基調とした飾りの少ないジョーゼットワンピースの衣装は胸の少し下から長く薄いスカートの様になっている。まるで妖精のような、この世のものとは思えない不思議な雰囲気が漂う。すみれが立ち位置に付くと客席が静まりかえる。
静かな曲で踊り始める観客全員が息を呑むように見入っている。
終盤曲がテンポを速めオーケストラ全体が華やかな
ジョーゼットワンピースの衣装は長く薄いスカートだが、すみれの速い回転、美しく高く上げた足にも
美しく華やかに、そして正確なバレエのテクニックで魅せるすみれの踊りは珠玉の踊りと思える。
踊り終えて劇場全体に拍手と喝采の渦が包む。舞台の
美しく気品のあるルベランス(お辞儀)にも魅了される。観客席に数回お辞儀をした後、すみれが指揮者の
オーケストラ団員全員が立ち上がって舞台の方を振り返り、指揮者の恵那と共にお辞儀をする。
チャルダッシュ(ハンガリーの踊り)
相馬智佐、太田さやか、三沢豊、石田世夫
短い序曲の後、哀愁漂うゆっくりとしたイ短調、ラッサンの旋律をバイオリンが奏でる。
男性も女性も
ハンガリーの踊りは両足の
終盤にかけて華やかにテンポの速い曲になる。この曲のゆっくりしたテンポから速いテンポに変わる特徴は、バイオリンの演奏で有名なモンティの『チャルダッシュ』にもある特徴だ。
華やかに踊り終わり拍手に包まれる。
マズルカ(ポーランドの踊り)
京藤真理、上田多香子、北原牧人、秋葉真一
四小節の序曲から続く三部形式の曲。ト長調の力強い曲からクラリネットの二重奏が奏でるハ長調をはさんで、最初の華やかな曲が繰り返される。
女性は白を基調としたドレスのような衣装に赤のアクセントになっている。男性は背中に赤いマントを羽織った衣装。男性も白ベースの衣装に飾りは赤い飾り。
華やかな踊りが繰り広げられ、拍手に包まれる。
この民族舞踊が続く部分をディベルティスマンという。余興などを意味する言葉で、バレエでは『眠れる森の美女』第三幕や『くるみ割り人形』第二幕に見られる。本編の物語と直接関係ない場合もあるが『白鳥の湖』では各国の姫の踊りとして演出される場合は物語との関連もある。
――――――
〇パッセ・トゥール
ジャンプして空中で一回転、あるいは二回転(通常二回転)する。その際右回転の場合、右足をパッセ、足の付け根を開き膝をくの字に曲げつま先を左足の膝の位置につける。
〇タランテラ
イタリア、ナポリの舞曲。三分の八拍子または六分の八拍子のテンポの速い舞曲。
〇ピチカート
弓で弾くバイオリン属の弦楽器の弦を指ではじいて弾く奏法。
〇ラッサン
ハンガリー語で「ゆっくり」
チャルダッシュ、ハンガリーのフォークダンスなどで見られる。
〇ディベルティスマン
余興などを意味する言葉。バレエでは『白鳥の湖』第三幕や『眠れる森の美女』の第三幕『くるみ割り人形』の第二幕に見られる。民族舞踊などがメドレーとして踊られる部分。
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