第139話 バレエ『白鳥の湖』第三幕(一)

バレエ『白鳥の湖』第三幕 城の広間


オディール 九条古都くじょうこと

ジークフリート 河合恵人かわいけいと

ロットバルト 元泰斗げんやすと


スペインの踊り

今井麻美、三島康子みしまやすこ、野田雅人、木島剣


ナポリの踊り

松岡美羽、厚木美和、川原誠一、金井裕司


ルスカヤ(ロシアの踊り)

久宝くぼうすみれ


チャルダッシュ(ハンガリーの踊り)

相馬智佐、太田さやか、三沢豊、石田世夫


マズルカ(ポーランドの踊り)

京藤真理、上田多香子、北原牧人、秋葉真一


道化 佐藤和也

王妃 松野静香まつのしずか


 舞台は城の広間。豪華な装飾で第二幕の湖の場面から一転する。従者や小姓こしょう役のダンサーが舞台に立つ。

 舞台袖ぶたいそでにはジークフリート役の恵人、王妃の松野静香。道化の佐藤が準備する。三人に優一と瑞希みずきが付く。この三幕でも幕が上がってすぐに高度なテクニックの連続になる道化どうけの佐藤は出番の直前まで舞台袖でストレッチに余念がない。

 古都ことも二幕の白鳥オデットの衣装から黒鳥オディールの衣装に着替え、ロットバルトのげんも黒い貴族の衣装で準備する。古都ことげんのそばに青山徹あおやまとおると衣装の由香が付く。由香は二人の衣装を細かいところまでチェックする。

 民族舞踊みんぞくぶようのダンサーたちの周りで衣装スタッフたちが衣装のチェックをする。

 すみれは静かに舞台を見つめている。そして、美織みおりがすみれの衣装の背中を縫い衣装と頭飾りをチェックをする。


 従者、小姓こしょうのダンサーたちが舞台に立つ。この従者や小姓たちが舞台で演技をしているところで幕が上がるのだ。従者、小姓たちの準備ができる。


 舞台袖ぶたいそでの観客から見えないところで、青葉あおばが静かに右手をあげ、指揮者の恵那えなに準備が整ったという合図を送る。

 恵那えな青葉あおばの右手に意識を集中する。

 青葉あおばが静かに右手を振り下ろすのと同時に、恵那えなの指揮で『白鳥の湖』第三幕の曲が始まる。


 城の華やかな雰囲気を感じさせる迫力あるアレグロ・ジュスト。曲が劇場を包み十六小節で幕が上がる。

 華やかに踊る従者、小姓たち。舞台が始まって間もなく道化どうけの佐藤はジャンプ、ターンと大きなテクニックの見せ場が続く。

 各国の姫たちも登場する。スペインの踊りを踊る美織の親友である康子が「ありがとう」と言って舞台に出て行く。すみれも「ありがとう」と美織の肩を軽く叩いて舞台に出て行く。

 王子ジークフリートの恵人と王妃の松野が登場する。王妃は今日の舞踏会で花嫁を選ぶようにと言う。

 この間も道化の佐藤は高度なテクニックの連続で場をつないでいる。ジャンプとターンの連続で息をつく間もない。そんな中での王子との掛け合いだ。恵人と佐藤が目配せしながら絶妙な演技で城の華やかさと荘厳な雰囲気を表現していく。

 さすがに佐藤の息が上がっているのがわかる。美織、優一、袖にいる団員が佐藤を見守る。

 王子は花嫁候補の女性と踊りながらもオデットとの約束を思い、心ここにあらずという感じだ。

 道化が王妃に花束を持っていく。王妃は王子に花嫁として選んだ女性に花束を渡すようにいう。


 その時、トランペットとトロンボーンのファンファーレが響く。同時に貴族に扮したロットバルト役のげんとオディールの古都こと颯爽さっそうと広間に現れる。オディールをオデットと思い込んだ王子ジークフリートはオディールに近付こうとするが、それを妨げる様にロットバルトが前に出る。


 そして、場を一転させるように民族舞踊みんぞくぶようが始まる。

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