第135話 バレエ『白鳥の湖』第一幕
バレエ『白鳥の湖』第一幕(城の庭)
ジークフリート
パ・ド・トロワ
(一日目昼・二日目夜)
(一日目夜・二日目昼)
王妃
第一幕導入曲。
城の庭の情景(アレグロ・ジュスト)
一転して華やかさと力強さ軽快な曲は城を思わせる。美しく絢爛な音楽が奏でる、その十七小節目で幕が上がる……バレエ『白鳥の湖』はこのように幕を開ける。
城に王子の友人たち、招かれた客人が楽しそうに踊っている。
王子ジークフリート役の
なんて自然な演技なんだろう、どこを取っても演技と思えないほどの自然な演技だ。バレエはセリフはないがマイムという手の動き表現で言葉を伝えていく。彼らの動き表現は流れるように自然でマイムを知らないものにも言葉の様に伝わってくる気がした。
ワルツ。招かれた客人たちが優雅な曲で踊り始める。要所要所で登場する
こんなすごいテクニックをまるで自然な演技の様に踊る。この佐藤和也というダンサーも、今、本番の舞台の中で初めて見るダンサーだ。園香はバレエ団の層の厚さを感じた。
パ・ド・トロワ
パ・ド・トロワは第一幕の見せ場となる。王子の友人たちが踊りを披露する。栗原寿恵は今度の花村バレエのゲストとして来てくれるダンサーだ。改めてその性格で美しい踊りに心を奪われる。
女性をサポートする雪村希は花村バレエの公演ではスペインの踊りを踊ってくれるダンサーだ。
パ・ド・トロワで男性は二人の女性をサポートする。見ていてまったく不安がない。リフトも安定している。なんてレベルの高いダンサーたちなんだろうと思う。
女性の第一ヴァリエーションを踊る寿恵。正確なポジション。余裕のある踊り。
「きれい」
思わず声が漏れてしまう。
そして、
コーダ。第一ヴァリエーションを踊った寿恵が数小節踊った後、すぐに先程、第三ヴァリエーションを踊ったばかりの彩が息をつく間もなく舞台に出て来て美しい跳躍の連続。
まったく疲れを見せない彩の爽やかな笑顔が心地よくチャーミングな雰囲気を醸し出す。
なんて体力があるのだろう。
最後は三人で大きなテクニックをそろえる。そして三人でポーズ。観客席から大きな拍手が巻き起こる。
園香の感想として、総じて
第一幕は終盤に差し掛かる。
明日の舞踏会で花嫁を選ばなければならない王子。まだ女性への愛をしらない王子は結婚という実感がありません。
憂鬱になる王子に友人が酒を勧めます。絢爛な音楽とともに乾杯の踊りが始まります。ホ長調のポロネーズ。マズルカと並ぶポーランドの舞曲を起源とした曲ポロネーズ。しばしの華やかな宴の中で、王子は憂鬱な思いが募ります。
夕空を見上げると白鳥たちが飛んでいく姿が見えました。
王子は自由に美しく飛んでいく白鳥たちを見て狩りに行こうと森に向かっていきます。
劇場に壮大で美しい『白鳥の湖』の曲が流れるなかで第一幕が幕を下ろす。
――――――
〇マイム
クラシックバレエではジェスチャーを使って会話をします。
例えば、
『誓い』片手の人差し指と中指の二本を立てて高くあげ、もう片方の手は胸にあて『誓い』を表します。
『怒り』両手を握って両腕を上げること『怒り』を表します。
『踊りましょう』両手をくるくる回しながら上に上げると『踊りましょう』という意味。
『嫌』両手を相手の方に押し出すようにして相手から顔をそむけることで『嫌』という感情を表します。
『美しい』片方の手の甲で顔の頬から顎のあたりをなぞるようにすることで『美しい』を表します。
『王、王妃』掌をを立てるようにて頭にかざすことで『王、王妃』を表す。
『結婚』右手で左手の薬指を指して『結婚』
『殺せ、死』お腹の前で両手を握りしめて手首を交差させることで『殺せ』あるいは『死』を表します。
このようにクラシックバレエでは決まったジェスチャーでさまざまな言葉を表します。
バレエ『海賊』などで、男性が掌を額の前、口元、胸の順番にあてて、かしずく様にするジェスチャーがあります。これは「私は『考える』ことも『喋ること』も『心に思うこと』も、すべてあなたに従います」という相手に対する『敬意』あるいは『服従』の意味を表します。
〇ポロネーズ
フランス語で『ポーランド風』の意味。マズルカと並ぶポーランドの舞曲を起源とした曲。
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