第134話 バレエ『白鳥の湖』物語
バレエ『白鳥の湖』
Swan Lake
曲 P.チャイコフスキー
振付 M.プティパ、L.イワノフ
(プティパ・イワノフ版として)
初演 ボリショイ劇場
一八七七年
登場人物
オデット・白鳥(王女)
ジークフリート・王子
オディール・黒鳥(ロットバルトの娘)
ロットバルト・悪魔
物語
第一幕
城
ドイツのあるお城で王子ジークフリートの成人を祝う宴が開かれていました。王子の友人たちがたくさん集まり祝福しています。物語の進行役でもあり重要な役として『
また、この第一幕でパ・ド・トロワ(女性ソリスト二名・男性ソリスト一名の踊り)が踊られます。王子の友人の踊りで第一幕の見せ場の一つです。
王子の母である王妃が王子に明日の舞踏会で花嫁を選ぶように言います。まだ結婚したくない王子は憂鬱な気分になります。
夕暮れの空に白鳥の群れが飛んでいくのを見た王子は白鳥狩りをしようと湖に向かいます。
第二幕
森の湖(白鳥の湖)
湖についた王子。そこへ一羽の美しい白鳥が舞い降りてきます。白鳥は湖に降りると美しい姫の姿に戻ります。
ジークフリート王子は白鳥に近づきますが、オデットは弓を持って現れた王子に気付き驚きます。怯えるオデットに王子は弓で射ることはしないと説明します。オデットは自分の身の上を話します。
ある国の王女だったオデットは、あるとき侍女たちとともに、悪魔ロットバルトに呪いをかけられ全員白鳥の姿に変えられてしまいました。
夜、この湖にいるときだけ人間の姿に戻ることができると伝えます。
そこへ悪魔ロットバルトが二人を妨げる様に現れます。王子ジークフリートはロットバルトに弓を向けますが、オデットがそれを遮るように言います。
「悪魔ロットバルトを弓で射ることはしないでください。ロットバルトを殺したら私たちの魔法は永遠に解けなくなります。私たちの呪いを解く方法は、ただ一つ、まだ誰にも愛を誓ったことのない男性が私に愛を誓うこと」
そこへ白鳥たちが舞い降りてきます。
ここで白鳥たちの踊りが繰り広げられます。白鳥たちのワルツ、王子ジークフリートと白鳥の王女オデットのグラン・アダージオ。四羽の白鳥の踊り。大きな白鳥の踊り。そして、オデットの踊り。
最後に白鳥たち全員のコーダ。
空が明るくなり夜が明け始めます。
王子は「花嫁を選ぶ舞踏会の場で愛を誓おう」とオデットに約束します。夜が明け、オデットと侍女たちは白鳥の姿に戻り飛び去って行きます。
第三幕
城の大広間
王子ジークフリードの花嫁候補がいろいろな国から訪れます。しかし王子はオデットのことが忘れられません。
そこへオデットにそっくりな女性が訪れます。貴族に扮した悪魔ロットバルトとその娘オディールです。
舞踏会が始まり各国から訪れた花嫁候補の姫たちの踊りが披露されます。
魔法でオデット見間違えるほどの姿と妖艶な出で立ちのオディールを見た王子はオデットと思い込みオディールと一緒に踊ります。
黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
黒鳥オディールと王子の踊り。この踊りはこの作品の中で最も華やかな踊りの一つです。コーダでは黒鳥の三十二回転グラン・フェッテが有名な踊りです。
踊り終わった後、ジークフリート王子は花嫁に渡す花束をオディールに渡し、天に向かって愛を誓います。
すると、突然、オディールが花束を投げ捨て正体を現します。ロットバルトとオディールは二人してジークフリートを嘲笑い、城の広間から走り出していきます。
一足遅れて王宮の外で一部始終を見ていたオデットは嘆き悲しみ去って行きます。
自分が大きな過ちを犯してしまったと知ったジークフリート王子は広間から駆け出してオデットのいる森の湖へ走って行きます。
第四幕
森の湖(白鳥の湖)
湖にいる侍女たちのもとへ帰ってきたオデットは王子の誓いが破られたことを告げます。
後を追ってきた王子はオデットに許しを請います。
そこに現れたロットバルトは永遠に呪いが解けなくなったことを嘲笑います。
オデットは侍女の白鳥たちに許しを請い湖に身を投げようとします。王子もオデットや侍女たちに許しを請い、オデットに永遠の愛を誓います。必死にオデットを止めようとする王子と侍女たち。
最後にオデットは王子を許し、オデットと王子は永遠の愛を誓って、二人で湖に身を投げます。
雷鳴がとどろき、稲妻が走り、悪魔ロットバルトはもがき苦しみます。そして、ついにオデットと王子の二人の愛の力の前に悪魔ロットバルトは滅び魔法が解けます。
オデットと王子の魂は永遠に結ばれ二人の愛は成就します。
――――――
作品について
この作品のなかで登場人物の白鳥オデット、黒鳥オディール、悪魔ロットバルトについてはいろいろ解釈があると思います。
どうして王子は白鳥と黒鳥を間違えて愛を誓ったのか……白と黒
第二幕の湖の場面で白鳥オデットたちは、夜、湖にいるときだけ人間の姿に戻るという設定になっています。つまり、この作品では『悪魔ロットバルトの魔法』というのが巧みに使われ、人間だったり鳥だったり悪魔だったりとなるのです。
第三幕の王子が花嫁を選ぶ舞踏会に来るオディールとロットバルトは人間の姿でやってきます。この姿が湖で見た人間の姿のオデットに似ていた。ここに現れたオディールは黒い服装のオデットに似た人間の女性です。
そうでなければ各国の花嫁候補のお姫様が私を選んでくださいと集まっているところで、王子が「私はこの黒い鳥を花嫁にします」と言ったらおかしな話になります。
この時のオディールは人間の女性の姿です。ロットバルトも貴族の設定です。
作品の中の湖のシーンでは人間の姿に戻っているといいながら、鳥のような振り付けで踊り、三幕のオディールも鳥の様に踊ります。物語の中でも白鳥オデット、黒鳥オディールというので少しわかりにくくなるのかもしれません。
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