第123話 公演まであと少し 青山青葉バレエ団で

 園香そのかと真美も団員の公演前の練習にそのまま参加できるようになった。

 バレエダンサーとして、これ以上ないほど勉強になるが、今回の旅行で買い物をしたり遊びに行く時間は全くない。


 この公演のあとも園香たちはバレエフェスティバルまで東京にいるのだが、この期間も瑞希みずき美織みおりやすみれの練習に付き合う。

 園香たち二人も美織やすみれに練習を見てもらっている手前、練習に付き合わないわけにはいかない状況だった。

 結局、東京にいる間ずっと朝から晩まで青山青葉あおやまあおばバレエ団に入り浸りだ。この間、買い物といえば、ちょっとした食事を買いに行く程度。

 まるで合宿に参加するような旅行になった。


 バレエを長くやっていても、この名門バレエ団の公演に関わることなどできない。

 園香と真美は奇跡のような展開からこのバレエ団の最高峰に君臨するバレリーナたちと出会うことができた。


 公演の二日前、その日も園香と真美はバレエ団の稽古場に行った。バーレッスンからセンターまで参加させてもらい、その後は大教室のリハーサルを見学させてもらいながら手伝いもする。

 バレエ『白鳥の湖』第三幕、各国の姫たちの踊りから、黒鳥オディールとジークフリートの踊り。

 そして第四幕まで、いよいよ最後の調整という感じで全員の集中力がすごい。


 その日の帰り瑞希から劇場リハーサルの手伝いを頼まれた。青葉あおばたちからの依頼があったようだ。

 公演は二日公演で園香も真美も一日目の公演のチケットを買っていた。

 二日目はスタッフとして公演の手伝いをすることになった。

 花村真理子、あやめからも「お手伝い頑張ってね」と言われた。真理子とあやめは二日とも客席で観るようだ。


 この公演直前の数日間もバレエ学校では一般の生徒や体験レッスン生のためのレッスンを普段通りやっている。

 花村バレエから今回の公演『白鳥の湖』を観に東京に来た何人かが、ここのレッスンを受けに来ていたようだ。

 園香と真美はバレエ団に付きっきりだったので会わなかったが、ゆいのお母さんに会うことがあり話をする中で何人か花村バレエの生徒に会ったと話していた。

 喫茶店エトワールの千春ちはるさんも花村バレエの大人クラスの人達と、ここの大人クラスのレッスンを受けに来ていたそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る