第118話 白鳥の湖(第二幕)オデットが舞い降りる

 指揮者の恵那えなげん恵人けいと古都ことに目配せする。三人が静かに頷く。

 コールドの先頭に立つのは塚原裕子つかはらゆうこ瑞希みずきの同期で親友のダンサーだ。その後ろに二十三人のダンサーたちが準備する。

 裕子ゆうこは気持ちを整える様に目を閉じている。


 恵那えなが右手を軽くあげる。バイオリンの久木田華くきたはな青柳彩弥あおやぎさやの方に目を向ける。そして、ゆっくり目を閉じ、空気を抑えるように優しく右手を下におろす。

 同時に風が通り抜ける様に静寂を断ち切る澄んだ弦の音が響いた。そしてオーボエが誰もが耳にしたことのある、あの『白鳥の湖』のメロディーを奏でる。


 本番では、まだ舞台には誰もいない空間、舞台に青い照明が森の湖を映し出す。


 曲が盛り上がるところでロットバルトのげんが登場し、湖を見回すように舞台を縦横に踊ったあと舞台を去って行く。

 森にやって来た王子ジークフリート・恵人けいとが弓を持って登場します。そこへ白鳥オデット・古都ことが舞い降りてきます。湖に降りたオデットは人間の姿に変わります。

 ジークフリートは美しいオデットの姿に目を奪われ、彼女に近づきますが、オデットはジークフリートに気付きおびえます。

 ジークフリートはオデットに心を奪われ、オデットに思いを伝えます。

 しかし、オデットは悲しそうな顔をして、自分たちは悪魔ロットバルトの魔法によって白鳥の姿に変えられ夜中にこの湖にいるときだけ人間の姿に戻ることができると話します。

 そして、この魔法を解く方法は『まだ誰にも愛を誓っていない男性が永遠の愛を誓ってくれること』と話します。

 王子ジークフリートはオデットに永遠の愛を誓うことを約束する決心をしますが、悪魔ロットバルトにさえぎられます。


 そこへ白鳥たちが舞い降りてきます。

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