第117話 白鳥の湖(第二幕)リハーサル準備

 青山青葉あおやまあおばバレエ団 一階大教室

 教室の正面、鏡の前中央には青山青葉あおやまあおば青山徹あおやまとおる花村真理子はなむらまりこの三人が椅子に座って見ている。その横にすみれと衣装の由香が立って見ている。少し離れて瑞希みずきが立っている。


 ゆいと唯のお母さんも椅子を準備してもらい花村真理子の隣で見ている。その横に園香そのかと真美、あやめも立って見ていた。

 美織みおりと優一、海外のプリンシパルたちも全員集まった。


 教室の前の一隅ひとすみに、ほとんどすべての楽器がそろっているのではないかと思われるオーケストラの奏者たち五十人ほどが楽器を構えて準備をしている。


 教室の横の壁は、ここのバレエ教師、衣装のスタッフ、舞台美術のスタッフ、照明のスタッフたちが全員見に来ているのか壁を埋め尽くすほどの数で並んで見ている。


 これがオール青山青葉のスタッフかと改めて驚く。

 出演者、バレエ教師、スタッフ合わせて二百人ぐらいいる。


 そして今から『第二幕』を踊るダンサーは三十人ほど。


 コールド(群舞)のダンサーたちが各々おのおの何かを確認するような仕草をしながら準備している。

 ジークフリート王子役の恵人けいと、オデット役の古都ことも軽く体を慣らしながら出番を待つ。

 腕を組むようにしてロットバルト役のげんうつむき加減に何かを考えている。


 オーケストラ指揮者の恵那えな青葉あおばの合図を待っている。オーケストラの奏者がそれぞれの楽器の音を合わせるように楽器を奏でる。

 演奏前の快い音が教室に流れている。


 青葉が全員の様子を確かめるように稽古場を見回す。

 青葉が古都こと恵人けいとげん、そして指揮者の恵那えなと目線を交わす。


「それでは『白鳥の湖』(第二幕)湖の場を通します。よろしくお願いします」

 青葉の声に教室が静まった。


「よろしくお願いします」

 出演者、スタッフ全員の声が教室に響く。

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