第91話 青山青葉バレエ団
電車を乗り継いで表参道駅に着く。駅から出て通りを歩く
青山通りを歩く、瑞希が園香の方を見てクスッと笑う。
「初めて来るとこかもしれないけど、その少し斜め上を見上げながらきょろきょろするのやめてくれる」
「え?」
「なんか、いかにもこの辺初めてですみたいな感じ」
微笑みながら言う瑞希。
「は、はい」
慌てる園香。
そう言いながらも、瑞希は園香に、この辺りにはこんな店があるとか、その先には大学があるとか、こっちには別のバレエ団があるとか、いろいろなことを教えてくれる。そんな話をしながら歩いていると、いつしか先程までの雑踏が嘘のような、静かな通りに入っていく。
なにか高級感を感じる通りを歩いていると、西洋風の白い大きな建物が見えてきた。
しばらくその建物に沿って通りを歩く。大きく美しい気品の漂う建物。
なんだろう? 学校? 何階建てだろう? これまで、大使館というものを見たことがなかったが、どこかの国の大使館か何かのような雰囲気もある大きく綺麗な建物。
園香はそんなことを思いながら歩いて行く。それにしても、どこまで続くのだろう。大きな建物だ。どこまでも白い壁が続く。
しばらく歩くと、やっと、この建物の入り口らしいところに着いた。入り口の扉も重厚な感じで、どことなく西洋のお城のような雰囲気さえ感じる。
「え!」園香は驚いた。
瑞希がまるで自分の家であるかのように、何のためらいもなく、その扉を開けて中に入っていく。
その扉の上の白壁に小さく金色の文字で
『
と書かれている。
ここが
こんなところからあのゲストの人たちは来ていたのかと腰を抜かしそうになる園香。
いや、それ以上に、今一緒に歩いて来た瑞希は、ここのバレエ団のプリンシパルの一人だ。つまり、ここのバレエ団のトップにいる一人だ。
入り口を入ると、その向こうに、いきなり小学校の体育館程あるのではないかと思われる稽古場がある。そこで何十人いるのだろう白鳥の衣装や貴族の衣装を着たダンサーたちがリハーサルをしている。稽古場の前には何人もの先生らしき人達が厳しい目でダンサーたちを指導している。
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