第79話 バレエフェスティバル 『海賊』リハーサルを終えて

 見学席から大きな拍手が鳴りやまない。美織みおりと優一が真理子の前に行く。真理子が微笑みながら言う。

「なにも言うことありませんよ」

 周りにいた他のバレエ教室の先生方も素晴らしいという言葉しかなかった。周りの見学に来ていた生徒たちも興奮冷めやらぬといった感じだった。


 美織みおりゆいちゃんというキャンディの女の子の方に微笑む。

ゆいちゃんどうだった。笑顔で踊れてたかな?」

「うん。ニコニコだった。美織みおり先生。お衣装きれい」

「うん、ありがとう」

見学席から温かい笑い声が広がった。


 そのあと衣装を何度も着替えるのは大変だからということで『海賊』をもう二回続けて踊ることにした。見学グループには二回目、三回目と入れ替わってもらって見てもらうことにした。

 それにしても本当に驚くのは、この二人まったく息が上がらない。見学グループはどのグループもまったく同じレベルの踊りが見れた。


『海賊』のグランを三回通した後、少し休憩して、次の『ライモンダ』を踊るという。


◇◇◇◇◇◇


 美織が『ライモンダ』の衣装を着て瑞希みずき園香そのかのところにやって来た。

『海賊』のティアラを取り、丁寧に箱にしまう。そして『海賊』の衣装をハンガーにかける。


◇◇◇◇◇◇


 クラシックチュチュはパンツの方を上にしてさかさまの状態で、はさむタイプのハンガーでハンガーラックに掛ける。ボディの部分が下になり傘が綴じる様にスカートが綴じた状態になる。

 肩紐かたひもをかけるとひもが伸びるとか、肩紐をかけると横に広がったスカートが下がってくるからとか言われるが、スカートが広がった状態だと場所を取るということもあるだろう。

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