第70話 くるみ割り人形 第二幕(十四)第二幕仕上げ
今日は朝からずっと練習が続いている。相変わらず、なんというスピードで振り付けるのだろうと思った。時間は四時になろうとしていた。
「何を話しているんだろう」
「二幕の始まりのところ振り付けるんじゃない。あとそこだけだから」
「ああ、一幕からのつながりでお菓子の国に来るところ?」
「そうそう」
雪の場を旅立ったクララ・
迎えるのは北村、秋山、
そこへ
そして、いよいよ二人はお菓子の国の城に招かれる。
舞台の
スペインの踊りのダンサーが中央後ろに。そして、その左右にアラビアの踊りのダンサー、トレパックのダンサーが並ぶ。アラビアの踊りのダンサーの横にあし笛のダンサー、中国の踊りのダンサーがスペインの踊りのダンサーの前に座る。そして、さらに両端に花のワルツのワルツ組のダンサーが
この部分の段取りと演技を
徹が全員に流れが把握できたか確認する。キャンディの子供たちが元気よく手をあげて返事をする。
「本当にわかった?」
微笑みながら徹が問い返す。するとまた元気よく手をあげてキャンディの子たちが返事をする。
「はーい」「はーい」
稽古場にいるみんなが微笑む。
「大丈夫かな」
徹が大人の出演者の方にもう一度顔を向ける。みんなそれぞれに目配せするようにみんなの顔を見る。
「じゃあ、一度
徹が二幕の初めから流れを言うので、稽古場を舞台と仮定して、順番に舞台に出てきて体で流れを覚えようという。
二幕の初めの部分から、徹が順を追って場面を説明していく。皆その順番でその時、自分がどこにいるのかを確認していく。
出演者全員、二幕の大きな流れが把握できた。
「じゃあ、二幕を曲で通します。ダブルキャストの人もいると思うので二回通します。いいですか?」
全員返事をする。
「じゃあ、五時から通します」
少しの休憩のあとリハーサル。徹が由香に時間を計ってもらうようにお願いする。
「由香さん時間お願い。ただ今回は途中のルベランスなしでいくから……ディベルティスマンのところ」
「それ時間計る意味あるんですか? 二幕のディベルティスマンは一回一回ルベランスあるんでしょう。それ全部なしだと五分以上変わってきません?」
「うん、まあ、だいたいで……」
「だいたい過ぎません。まあ計りますけど……」
「お願い」
「あ、それより
その後、第二幕の通し練習は何とか二回無事に終わった。由香も
その日も全員練習が終わった後、
そのあと
明日はまた九時集合で十時から全通しを二回するという。今までの公演練習では考えられないスケジュールと規模で舞台づくりが進んでいる。
帰り際、
そして、翌日は予定通り全通しを二回。まだ振り付けしたばかりなので、ダメ出しも大まかなところだけで細かいところは、次までに練習しておくようにということで今回の怒涛の振り移しが終わった。
この日、夕方六時頃の飛行機でゲストの先生たちは帰ることになっていた。四時頃には練習が終わった。
美織や優一、瑞希が青葉や
「今度、七月は東京に来るんだよね。楽しみにしてるよ。うちの舞台も見に来てよ」
園香も微笑みながら、
「うん絶対行くよ」
「じゃあ、楽しみに待ってるよ」
そう言って
園香は恵人と何でもない会話が自然にできる様になったことが嬉しかった。
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