第65話 くるみ割り人形 第二幕(九)チョコレート(スペインの踊り)

チョコレート(スペインの踊り)

牧村奈々まきむらなな 雪村希ゆきむらのぞみ


 スペインの踊りを『チョコレートの精』『チョコレートの踊り』というのは、諸説あるがヨーロッパに最初にチョコレートが持ち込まれたのがスペインだったというところからチョコレートはスペインという結び付きになっているらしい。


 スペインの民族舞踊、スペインの踊りは様々なバレエ作品の中に取り入れられている。

『白鳥の湖』『コッペリア』……なかでも、バレエ『ドン・キホーテ』は作品そのものの舞台がスペインのバルセロナという設定だ。


 衣装は男性はボレロ、女性は様々であるがチュチュでスペインをイメージした色や飾り付け、あるいはファルダというフラメンコなどの衣装として使われるスカートの要素を取り入れた衣装で踊ることもある。

 実際のファルダは腰から太腿ふともも辺りまで身体からだの線に近く、そこから下はボランテ(フリル)がほどこされ柔らかく大きく広がる形になっている。

 今回の舞台ではファルダのスカートをイメージした衣装だと由香がいう。ひざの少し下までのたけで足の動きはきれいに見える様にする。


 ゲストダンサーののぞみは何度かこの踊りを踊ったことがあるという。奈々はこの踊りを踊るのは初めてだったがスペイン系の踊りは『ドン・キホーテ』や『パキータ』で踊ったことがあった。

 のぞみは奈々と年は同じだが、既に青山青葉あおやまあおばバレエ団の公演にもレギュラー的に出演している。国際コンクールにも出場経験があるというだけあって、こうして近くで踊ってみると同い年という感じはまったくなかった。奈々から見たら十分に先生のレベルだった。


 今回の踊りではサポートやリフトはなく、男性、女性それぞれが、それぞれの踊りをするという振り付けだ。


 げんが奈々とのぞみに振り付けをしていく。遠目とおめに見ていた時は、時には瑞希みずきや優一がからかう様な感じで話したり、なんとも、どういう人かとらえようがない人物という印象を受けていたが、一方で優一や恵人けいとの先生ということも聞いていた。

 そのげんから直接指導を受けてみると、やはり優一たちが言っていた凄い人というのが実感できる奈々だった。

 女性の踊りでも言葉で指導するだけでなく、実際にげんが踊って見せてくれる。

 スペインの踊りの背中の使い方や、腕、足の使い方など民族舞踊の独特な踊りを細かく指導してくれた。

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