第50話 くるみ割り人形 第一幕(十)雪の場
この振りには花村バレエの北村、秋山も入る。
そして、何よりも青山青葉バレエ団のプリンシパルダンサー
「まず、最初の音は
「はい」「はい」
「
チラッと
「ん? あ、フルート、
微笑む
次は高校生の二人が舞台の上前と下前から出てきて正面で交差するようにグランジュテ。回り込むように、
そして、
華やかになっていく曲に合わせ、八人、八人。最初のコーラスになる前に二十四人がそろう。
コーラスに合わせ全員が舞台全体を大きな円を描く様に、ソテ・アラベスクで体を回転させながら踊る。ソテ・アラベスク、バランセを組み合わせ回りながら踊る。主要な音で瑞希と寿恵がセンターを割るように並ぶ。
本番はこのコーラスのところから舞台に紙吹雪の雪が舞い始める。
群舞の右半分の十二人と左半分の十二人が交差するように入れ替わる。踊りながら二十四人が互いに十二人と十二人の間をすり抜ける様にすれ違い前後左右の列が入れ替わる。それを数回繰り返し、瑞希と寿恵がセンターを割る立ち位置。元の列に戻る。
さらに曲が激しくなり二十四人のダンサーたちが吹雪のように舞台に舞う。
王子・
曲クライマックスになり、コーラスが歌い上げる。紙吹雪が舞台を染めるほど降ってくる中、二十四人の雪のコールドダンサーの間を王子・恵人とクララ・園香の二人がゆっくり舞台の
王子とクララはお菓子の国に旅立っていく。
幕が下りる……第一幕終了。
◇◇◇◇◇◇
もう一度「雪の場」を通す。まだまだできていないところも多いが大きく曲を止めなければいけないところもなく踊り切った。
とりあえず、今の段階でコメントはないと
「いいですよ。最初から通しましょう。
少し不安な顔をする二人。
「大丈夫です」
恵人が
「ハレルキン、コロンビーヌ、ムーア人はいけるかな?」
「大丈夫よ」
と言う。
「みんな自信はまだないと思うけどスタッフもフォローするからやってみようか。何か言うことある人は?」
衣装の由香が手をあげた。
「え、と確認ですが、第一幕は曲が続いてる人はいないんですよね。客人でねずみとか、客人で兵隊人形とか」
徹が言う。
「いない、いない。Aグループが客人のときはBグループがねずみと兵隊人形に分かれる。Bグループが客人のときはAグループがねずみと兵隊人形に分かれるから」
「フリッツ役の
「はい」
信也が応える。頷く由香。
「OK。やってみて気付いた人は、後で言ってね」
徹が少し考える様にして由香の方に目を向ける。
「由香さん、一応全体の時間計っておいてもらえるかな。大体五十分くらい、一時間足らずだったと思うけど」
「わかりました」
真理子、
見学者スペースを埋め尽くすほど来ているお母さんたちは緊張した
「じゃあ、始めましょう」
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