第3章 それぞれのはじまり

第16話 その翌日 喫茶エトワール

 次の日の昼前、喫茶店「エトワール」でアイスクリームを食べながら園香そのか奈々ななが話していた。話しているところへ「エトワール」の千春ちはるがやってきた。

「昨日はすごかったらしいね」

園香がアイスクリームを食べながら、

「そうなんですよ。千春さんも聞いたんですか? 青山青葉あおやまあおばの人達が三人も入って来たんですよ」

「ええ、聞いたわ。大人クラスのみんなから次々電話が掛かってきてね。すごかった。今度のレッスン来た方がいいって」

「すごかったですよ。神、神。千春さん。おいしいね、このお勧めのアイスクリーム」

奈々がアイスクリームを食べながら言う。

「アプリコットのシャーベットよ。どんな感じだった? その人たち」

「もうねえ、すごいの。ストレッチしてる時から、見たこともないよあんなの」

「本当なんですよ。なんなのこの人達は! みたいな感じ。今日も来るのかなあ」


 千春はグラスに入れた水を飲みながら、

「今日はたぶんレッスン生、みんな来ると思うよ」

「わかる気がする」

頷きながら言う園香。アプリコット・シャーベットを食べる奈々の手が止まらない。

「アプリコットのシャーベット。これ。本当においしい。アプリコットっていう果物が入ってんの?」

「あんずのことよ」

「……あんず?」

「……美味しい果物よ」


 その後も昨日の話で盛り上がる。

 今日も朝からレッスンはやっている。昨日と同じスケジュールだ。朝は小さな子供たちのレッスン。午後からは小学生以上大人まで一緒のクラスのレッスンがある。

その午後のレッスンに喫茶店エトワールの千春も来るという。

「千春さん忙しいんじゃないの?」

「大丈夫、大丈夫」


 その後、園香と奈々はスタジオに向かった。千春も店はマスターである旦那のまことに任せて午後のレッスンに向かう準備をする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る