小屋

 おばあさんが出てくるまで、私とミミミは話が出来た。

「小屋がいっぱいあるね」

「小屋というにはちょっとしっかり造ってあるみたいだね」

「うん、本当に小さなお家みたい」

 とても静かで、鳥の声もする。そしてチョロチョロと水の流れる音もしたので、小さな川もあるのだろう。

するとおばあさんがこちらにやって来た。おしゃべりに夢中であんまり食べてないのを怒られるかなと思ったら、じっと私の方をみて

「ああ、今日は良く目が見える。お前さんの色も・・・やっぱりきれいなもんだ。羽が鍋のススみたいなじゃと、お前さん達の事をナベヅルと呼ぶが、そんなことはない。その色に染められた布は、きっと美しかろう。目の周りの赤も白い所も、やっぱりきれいじゃ。

ああ、ツルの模様の布を・・・・織りたいのお」

悲しげにそう言った。その姿を私がじっと見たので、おばあさんはフッと笑って

「お前さんにも見せてやろうかの」

おばあさんは小さな小屋の方に向かった。そして戸を開けて中に入った。私も長い首を先に家の中に入れると

「ミミミ! 機織り機だ、大きいね」

「そうだね、立派だ」

「ツルの姿は本当に美しいが・・・・声だけはどうも」

おばあさんは楽しそうに、うれしそうに言った。

さっきからそう思ったが、ツルの声は「キエー」という、自転車のブレーキの音を少し聞きやすくした様な声だった。




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