ミミミの勉強

「ああ、ばれちゃったんだ! 旅の前に、僕も本物のフェアアイルセーターをたくさん見たかったんだ。準備中でバタバタしてたから、見つかりそうになったらマスコットに戻ったりして、スリルがあって楽しかった。それでつい長居して、デパートで夕飯を食べたよ、まあちょっとコッソリもらってだけど。色々なセーターを見たけど、糸ちゃんのおばあちゃんのセーターはやっぱりきれいだと思ったよ、そうか、展示されることになったんだね」

「あのね、前にお母さんから聞いたの。おばあちゃん、病気にならなかったら、編み物の先生をする予定だったんだって」

「そうだったんだ・・・残念だね・・・」

「うん」

 

ちょっと悲しい感じになったので、私はフェア島の旅の話しをした。

「とにかくびっくりした。島の自然も、遭難も。でも島の人達が本当に親切なのが一番驚いた。だからあんなきれいなセーターができたのかな」

「それを聞いたら、きっと今島に住んでいる人達も喜んでくれると思うよ。糸ちゃん、本当にこの次の旅もあの時代でいいの? 」

「うん! それにセーターを着てた人もいて、ちょっとだけ模様も入っていたような気がするから、きっとフェアアイルセーターを見ることも出来ると思うの」

「そうだね、僕も見たよ。じゃあ今度の旅はあれから少し後でいいかな、一ヶ月くらい」

「うん! お願い!! 」

二人でそう楽しく話していたが、お母さんの電話はずっと鳴りっぱなしだった。おばあちゃんのセーターのことを詳しく聞きたいと言う人が、展示会にたくさんいたそうだ。

 夕食の時

「お母さんに習ったことがあると言う人も来ていたのよ」

おばあちゃんの事を楽しそうに話すお母さんは、ちょっと子どもに戻ったようだった。


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