一番きれいな夢
その後すぐ戻ったのだけれど、どうも私はそのまま本当に眠ってしまって、きっと今までで一番素敵な夢を見た。
「わあ! ミミミ!! 島の地面がみんなセーターの模様になっているよ! 」島の少し高くなっているところ、羊たちがいた斜めの所もグリーンや茶色の模様、家の側は花の色のような赤や黄色や紫になっている。その上を羊の私とミミミが歩いて
「わあ!! きれい!!! ふかふか!! 」
と空を見ると、何だかいつもと違う。
空も青と水色と白の、まるで消えかけた虹のような、フェアアイルセーターの模様になっている。
「きれい! きれいね、ミミミ!!! 私が今まで見たもの中で一番きれい」
そう言う私に、ミミミは笑っている
夢の中で、私は
「ああ、そうか、セーターを見ることが出来ないから、ミミミの力で見せてくれているんだ」
そう思いながら、ずっとセーターになった島を歩き
「あれ、これあたしのセーターの模様、あっちはおじさんのセーターにそっくりだ、え? じゃあこの夢は・・・」
と疑問に思ったところで夢は終わってしまった。
それからしばらくして目が覚めるとミミミが
「糸ちゃん、本当の夢で興奮していたみたいだけど・・・体調は大丈夫? 」
「うん、すごく楽しかった。ミミミ、ありがとう、おやすみなさい」
「おやすみ糸ちゃん」といつものようにコロンとマスコットになった。
そして朝早く、珍しく京子ちゃんのお母さんから電話があった。
「え? あのフェアアイルセーターを展示? もちろんかまいませんよ、母も喜ぶでしょう」
とお母さんが言っていた。そして
「糸、あのフェアアイルセーター持ってきてくれる? 隣の県のデパートでフェアアイルセーターの展示会があるんですって。京子ちゃんのお母さんの手芸仲間の方がいて、糸のものも飾って下さるんですって」
「そう! すごいね!! 」
そうして三十分もしないうちに京子ちゃんのお母さんがやって来た。
「ありがとう、昨日一日で準備して、今日からだから大変みたいなの、私も今からお手伝い。じゃあ糸ちゃん、預かりますね、」
「はい! 」おばさんも急いで届けに行った。
そして、やっとピンときた。
「そうか! ミミミはきっとそのセーターの展示会の下見に行っていたんだ! だから昨日、珍しくいなかったんだ」
私の夢のことを先に話そうか、それともこのことにしようか、とても楽しく悩んだ。
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