私のArcadia

@sazanami-Reen

第1話

「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。」

この言葉が小学生の頃の担任は好きだった。なんとも協調性を重んじる日本人らしい言葉ではないか。駅伝なんかまさにこれだ。みんなのために襷をかけて走り、そしてアンカーのためにみんなで襷をつなぐ。その姿に日本人は感動し、涙する。そして選手たちも涙する。この自己犠牲の精神がここまで深く根付いているのは日本くらいだろう。

だが、社会はそんな未来ある若者へ大きな問いかけをして、挫折させる。

「あなたたちは何をしたい?」と。

周りに合わせて生きてきた人が、唐突に自分の意見を出せと言われてもまあ難しい。

これが俗にいう覇気のない若者や、根性のない若者だと捉えられがちである。そうではないのだ。意見を出さないのではなく、言えない。なにかを成し遂げないのではなく、成し遂げられない。そして自己犠牲の精神のもと動いてきた若者たちは苦悩する。ほかの人に相談できない、相談の仕方がわからない。だから自分で抱え込む。若者の自殺率が高いのもこれが理由である。リスカ、OD、吐瀉。自傷行為は自己肯定感が低い若者が多い。なぜこれほどまでに若者の時に求められる能力と社会に出てから求められる能力は違うのだろう??

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