第2話 復活する悪夢
魔女狩りの時代から70年後…
時代が進み王政は破綻して世界にはいくつもの国家が誕生した。魔女狩りは次第に見られなくなったが、その理由は宗教の認識においては確認できるだけの魔法使いを排除したからである。慈悲などではなくやり尽くしたと考えているのだ。市民においてはこれにより魔法使いが邪悪だという強い思想が薄れてきたからとも言える。一方、魔法使いはというと学校に預けられた子どもたちが卒業して世界に旅立ち、密かに暮らすことで絶滅することは免れた。その多くは国家魔法統制所に勤めている。
彼らが入学した学校は自然豊かな森の中にあった。この学校は12歳後期頃から入学が可能でそれに満たずに預けられた子どもは魔女狩りが始まった頃に急遽併設された施設で過ごした。
そして近頃、校内では妙な噂が立っておりいた。それはデンホルム・グレンヴィルが復活したというものだ。
*
デンホルムの70年前の記憶_______
私が悪魔の力で蘇り、子どもに化けてあの学校で魔法を極め続けたのは単に勉強熱心な子どもだったからではない。人間界のことも好きで学んだわけではない。すべては崇高な目的のためだ。
生きたまま燃やされた日のことを今でも鮮明に覚えている。自らの魂を差し出して漸く手に入れた力を人間どもは奪い去ったのだ。この憎しみを力に変えて復讐をする時が来た。あの学校で過ごした6年は私を強くする基盤になったが、私を強くしたのはそれだけではない。一番は強力な存在だ。それは23歳になった頃だ。私は悪夢の悪魔エンプーサを召喚し、転生してからというもの新たな契約した。その時そいつは私に言った。
「お前は絶大な力が欲しい、そうだろう?」
悪魔は気味の悪い笑い声を立てて続けた。
「お前の家系は代々ヘカテー様に仕える契約をしている。よかろう、もう一度チャンスをやろう。」
そう言ってまた気味の悪い高笑いをしながら天上へ帰っていったのだった。それからあっという間に湧き立つ力を感じて試したくなった。手始めに目の前を通りかかった野うさぎに窒息の呪文を唱えた。
「サファケイト」
するとどうだろう。学生時代に教えてもらうことすらあり得なかった闇魔術を簡単に唱えることが出来るのだ。興味深(おもしろ)くなってきたぞ。次はあのカラスだ。
「インスタント・デス」
すると空を飛んでいたカラスはピタッと動きを止めてそのまま落下した。力の真偽を確かめると私は直ちに学校へ向かった。まずは人間どもに媚びる老人たちを始末しなければならないだろう。こいつらは迫害された過去を棚に上げて人間に歩み寄ろうとしている愚か者だから私の復讐の邪魔になるだろう。そう考えていると背後に人の気配がした。
「動くな!少しでも動けば殺すからな。」
見知った声だが、動けば即座に攻撃してくるだろう。
「おや、どなたかな?後ろを振り向くくらいは、いいだろう?」
後ろを振り向くとかつての友がいた。
「誰かと思えばデクスターじゃないか。生きていたのか、よかったよ。」
なぜ私を殺そうとするのかと尋ねると、予想していなかった答えが返ってくる。
「デンホルム、お前が催眠の魔法を使ってお多くの人を騙し野望を実現しようとしていたことはわかっている!」
そうか、バレてしまったのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます