新刊準備

 夏のイベントが終わり暇になる。

 なんてことはなく、すぐさま次の新刊の準備を始めていた。

 学校生活というものは夏から秋にかけての行事ごとが多い。その分、夏休みのうちにやってしまいたいことがたくさんあるのだ。


 少しでも早く作業をしようとパソコンを起動させていると、ピコンと通知音が鳴った。それは友人からの遊びの誘いだった。


『悪い。今日は忙しいから無理』


 慣れた手付きで文字を打ち、そう返信する。

 原稿をやりたい、というのはもちろんだが、今日は昼から学校に登校しなければならない日だ。なので原稿とか関係なく、遊ぶ余裕はない。


「めんどくせぇな……」


 なぜか俺の学校には夏休みに帰宅部の人間を集めて清掃活動をさせる伝統がある。今日はその日なのだ。


「まぁ、昼からだし。それまでは原稿できるしいいか」


 夏休み中何度も清掃活動をさせられるのならサボってやろうとも思うが、清掃活動をしなければならないのは一回だけ。しかも半日だ。ならばいいかと考えてお絵描きソフトを起動した。




 時刻は午前十一時。

 新刊のストーリーは嬉しいことに早くも考えついており、今はラフくらいの雑さでネームを描いていた。

 朝ごはんを食べてからずっと作業していると腰が痛くなる。猫背になると背中も痛くなってしまうので、俺は一度ペンを置いて伸びをした。

 ついでに息抜きするか、と机の端に追いやられていたスマホを手に取り、SNSを開く。


『今回のイベントも楽しかったです! スケブもまた描いていただきありがとうございました! 絶対、家宝にします!』


 スケブの写真とともにそう書かれたさくらさんの投稿を見て元気を出す。

 また、イベント会場で彼女と会いたい。そしてまた素敵な笑顔を見せてほしい。


「よし、原稿頑張るかー!」

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