第26話 怒り

「……じゃあ、何で僕に話したの?」

「宇宙は信頼できるから。……それに、誰かに話してすっきりしたかった」

 僕が信頼できるだって?

 それに、誰かに話してすっきりしたかっただって?

 じゃあ、僕はどうすればいいんだよ。

 ここで、僕も浅羽さんが好きだって言えばいいのか?

 そんなこと、言える訳ないじゃないか!

 自分だけ話して、すっきりしやがって!

 僕は更にもやもやするだけじゃないか!

 大久保君に対しての怒りが沸々と溢れてくる。

「……そうだったんだ」

 怒りの感情を必死で抑えて、出来る限り冷静な声を出す。

「ああ、聞いてくれて、ありがとう」

「……じゃあ、もう遅いから帰るよ」

 そう言うが早いが僕は歩き出していた。

 早くこの場所から逃げ出したかった。

 大久保君の顔なんて見たくなかった。

「あっ、そうだよな。ごめんな、付き合わせて。……じゃあな、宇宙」

  

 大久保君と別れた後、僕は家まで走った。

 何が、ありがとうだよ!

 いつも、自分だけいい思いして!

 僕がどれだけ惨めな思いをしてるのかなんて、お前にはこれっぽっちも分からないだろ!

 だって、もしあいつが僕のライバルだとして、僕に勝ち目があるのか?

 全くないじゃないか!

 あいつは完璧モテ男で、僕は卑屈で嫌な人間だ。

 勝負にもならない。

 あいつみたいなリア充なんて、皆、爆発してしまえばいいのにっ‼

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