第27話 もやもや

「あっ、宇宙おかえり~。告白はどうだった?」

 家に帰ると、父を無視して僕はシャワーを浴びた。

 冷水を頭から浴びる。色々な感情を洗い流したかった。

 でもシャワーを浴びても、頭の中はぐちゃぐちゃで、黒いもやもやとした感情は全く晴れなかった。

「宇宙、どうしたの? 何かあったなら、お父さんに相談してほしいなぁ」

 風呂場から出ると、扉の前で父が心配そうな顔で待っていた。父を無言で押しのけ、部屋に入って鍵を掛ける。

「お~い、宇宙。どうしたの~?」

 追いかけてきた父が扉を叩く。

 今は誰とも話したくなかったので無視した。ノックの音はしばらく続き、心配そうな父の声も聞こえた。

「五月蠅いなあっ! 放っておいてくれよっ!」

 いい加減うっとおしくなってきて、僕は扉の前の父に向かって叫んだ。

「……わかった。じゃあ、宇宙も早く寝なよ。おやすみ」

 それから父の声は聞こえなくなった。



 次の日、僕は重い足取りで学校へ向かった。

 昨日の夜に色々と考えて、気持ちの整理が少し出来た。

 大久保君の顔を見ても、突然殴りかかったりはしないだろう。

 でも、顔は合わせ辛かった。

 脚本作りの時だって、前のように楽しい気分で話をすることが出来なかった。

 

 心にもやもやを抱えたまま、時間は過ぎていった。

 夏休みに突入しても、脚本のラストは完成しておらず、僕の態度もずっとぎこちないままだった。


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