第25話 大久保君の告白
公園に着くと、大久保君がベンチに座って待っていた。
「ごめんな、こんな時間に呼び出して」
変なロゴの入ったTシャツ姿の僕に対し、大久保君は制服のままであった。通学リュックもベンチの脇に置いてある。陸上部は夜遅くまで練習することもあるらしいので、家に帰る前に寄ったのだろう。
「いや、いいよ。それよりも何の用?」
「……話したいことがあるんだ」
大久保君の顔の真剣な顔に気圧されてしまう。
まさか、本当に告白じゃないだろうな? でも、僕に? いや、さすがにそれは有り得ない。
「まあ、座ってくれ」
僕は大久保君の隣りに一人分の隙間を空けて腰掛けた。
「……満月には言うなよ」
「……うん」
一瞬の間の後、大久保君が決心したように言う。
「俺は、満月が好きだ」
「え……?」
一瞬、思考が飛んだ。
「俺は、満月のことが好きだ。ずっと前から、今も変わらずに好きだ」
「…………」
いきなりの告白に僕は言葉も出なかった。僕が恐れていたことが現実に起こってしまい、目の前が真っ暗になるのを感じた。
「……前に初恋の話をしたよな」
僕は無言で頷く。
「俺の初恋はまだ続いているんだ。……だから、あの時、俺に話が振られる前に、話題を変えたんだ」
だから、心霊研究会の話に乗ってきたのか。初恋の話をしなくて済むように。
「俺は満月のことが好きだから、つい初恋はお前だとか言ってしまいそうだったんだ。……でも、言うのが怖くて。もしも、満月が俺のことを何とも思ってなかったらって思うと、言うのがとても怖くなった」
こんな弱気になっている大久保君は初めて見た。
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