第3話 歴男
中学一年の頃に聞かれた問いかけに、僕はまだ明確な答えを返すことが出来ないでいる。
高校二年になった現在になっても。
自分が何者であるか、なんていうのは、自分で何とでも言えることであり、今の僕を無理やり何者かで表すのならば……、
「歴男」。
歴史オタク男子。歴女がいるならば、歴男だっていていいはずだ。
父が望んだ宇宙飛行士とは全く別物。理系ではなく、文系。宇宙の誕生ビックバンよりも、世界各地の神話体系。科学の最先端よりも、古代の歴史を探求。
プラネタリウムや星空観測に行く暇があったら、仏像巡りに行く。
彼女とデートに行くよりも、一人で寺社巡りをする方が楽しいに決まっている。
休日はどこかに出掛けるでもなく、家で歴史小説を熟読。
そんな僕に父は嫌味たっぷりにこう言うのだった。
「あ~あ、宇宙飛行士ってカッコイイよなぁ。女の子にもモテるだろうし、一人で寂しい休日なんて過ごさないだろうしなぁ……」
放っておいてくれ。
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