Cut 2 イドラ 改
第一話 get lady。
女性をゲットすることは男性中二病患者にとってかなりハードルの高い問題だった。
愛を中心とする宗教にしてみれば「愛せ」しからば、与えられん、とでもいうのだろうが、それで彼女が得られかどうかは全く不明である。知り合いに言わせれば、彼女の周囲にただ侍っていれば其れで彼女ができるそうだが、そんなの科学の迷信だという気がする。そもそも、落とせればいい、と言う発想がいかん。恋愛には真実を求めたかった。
休み時間。教師が来るまでの間の狂騒状態。
特殊な性格のせいか同性の友達の居ない僕は今日も好きな女の子の周りに張り付いていた。その女の子の名は真理。クラスではあまり目立たない方だが、二年女子ランキングで十位以内をマークする美貌の持ち主だった。アニメ系の顔と、若干小柄な痩身が特徴で、話しぶりが明るく成れば更に上位を目指せそうな美形だった。独りで居る事は少なく、今朝は女友達と新聞のスクラップを見ている。話題は火星移民。航空宇宙局が公式に否定しかねない難易度の高い話題だった。
「上原君」
話より美貌に妄想を膨らませていた所で名前を呼ばれた。妄想から現実の彼女に焦点が合う。聞いてなかっただろう、と言う視線を送られたので、そんな事は無い、と言う答えを返す、
「火星のテラフォーミング?」
「そう。何時できるんだっけ」
二十一世紀も第一四半世紀を過ぎようというのに宇宙開発はあまり進まない。去年隕石対策で宇宙軍が創立されたが、火星はまだまだ遠い。
「当分無理だったはず」
「噓つき」
「?」
「当分無理、なんじゃなくて、無理、と言う報告結果よ」
「ああ、まぁ」
宇宙開発に興味を示す女子。火星に移民するほど嫌な事でもあるのだろうか。
移住可能な惑星とその方法、調べといてね、と言って彼女は席に戻る。
教室の前の方の扉が開いて英語の教師が入って来た。
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