Short Cakes

一憧けい

Cut 1 spirits

正月。

年が明けたからと言って特に行くところもない。

独りが寂しいので街中へ出掛けた。


三千万都市の人出は元旦にしては少ない。

正月休みで開いてない店の多い商店街。

シャッターに飾りがしてあった。

行きつけの飲食店に入ることにした。

道行く行く人々は今年は大体カジュアル。

着物の人はあまり見かけなかった。

子供のころは凧や駒、羽根突きなどをしたものだが。

今はもう見つけるのが至難だ。

百人一首はテレビの中で見たのが最後だったような。


レジを済ませて商品を受け取って席に着く。

いつもの、だった。

ワイヤレスを両耳に装備。

ランダムで曲を掛けた。

今日はなんだか塞いだ気が晴れる気がした。


「あの客、鼻歌が」

「入れといたから」

陰気には微量のスピリッツ、だった。

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