第2話 高二病の僕は異世界を満喫するの巻

「信じられないぞー!」


今現在二階にある僕の部屋では、まるで現実とは思えない出来事が起きている。

少し前から話そう、あれはベッドに寝転がりながら僕は漫画を読んでいた時のことだ。


窓に何かが当たった気がした、それも硬くて光っている何かが。

不思議に思ってベランダに出てみたら、そこには本当に綺麗な石が落ちていた。


「凄いな、こんな石見たことないぞ」


すぐさま石を持って部屋の中へ引き返した、外は極寒なのだ。

僕はその石を勉強机に置いて、少し眺めながら独り言を呟いたりした。


「これは、まさにクロスフレイムだ、とうとう私の元へやってきたのか勇者よ、何の用だ」


クロスフレイムとは僕が授業中にずっと想像を巡らしていた物語の鍵となる石のことである。


そのとき、光っていた石がより一層の眩い光を放った。


「なによ、話が早いじゃない」


この時、僕は驚きすぎて座っていた椅子を横転させてしまった、今でも腰が痛い。


「よ、よ、妖精さんですかー!?」


「あら私が妖精なのも知ってるのね、そんなことより貴方、ちょっと着いてきてくれる?」


「ちょっと待ってくださいよ、ああ、僕は妄想しすぎて幻覚を見ているんだ……」


すると、妖精が出てきた石からまたなにやからおかしな光が出てきた。


「よっとおう本当にそっくりじゃないか!」


それはまるで鏡を見ているようだった。


その人物はキラキラと輝く鎧と剣を身に付けている、しかし顔といい体型といい声といい、まるで僕なのだ。


混乱している僕に、彼は話しかけてきた。


「簡潔に言うぞ、俺たちは異世界からやってきた勇者と妖精だ、お前には俺と入れ替わって勇者になってもらいたい」


今現在に戻る


「信じられないぞー!」


「そう言うな、俺の為と思って頼む勇者になってくれないか?」


勇者はやけに冷静な態度だったが、自分そっくりなのでそれが逆に恐ろしく見えた。


「ごめんなさい、私もう限界だわ」


妖精が疲れきった様子で勇者に囁く。


「ありがとう、本当にありがとう」


妖精は石の中へと戻り、石はまた眩い光を放っ

た。


その光景に驚きながらも状況を段々と理解してきた。


「申し訳ないけど、これが現実だとしたら僕は異世界にはいかない」


どうか夢であってくれと願った。


「いきなり来たことは申し訳ない、でもどうして異世界に行きたくないんだい」


まさに勇者は自分中心である。


「それは当たり前ですよ、家族のことだってありますしそれに学校だってある」


「そうか参ったな……、魔王を倒さなければ姫様はずっと醜い姿のままだ」


「姫様?、今姫様と言いましたか?」


姫様という言葉に僕は惹かれてしまった、授業中の妄想でも毎回姫様が出てくるのだ。


「ああ、以前はお美しい姿をされていたのだが魔王の手によって変えられてしまったのだ」


この時、自分の頭の中で物語が作られていた。


俺が勇者になって魔王を倒せば、姫様を救えて幸せな異世界ライフを過ごせるのでは無いかと。


「……分かったやろう、ただし家族には内緒だぞ」


「なんと、やる気になってくれたのか」


嬉しそうな目をして勇者は言った。


(まずは仲間集めからしよう、僕は勇者になるからスキルは強いんだろなー、エルフ達と楽しいことしたり仲間の一人は巨乳で…… )


「おい、君行かないのかい」


勇者は腰に装着してあった袋の中からもう一つの石を出して僕を急かした。


「ああごめんなさい、行きますよ」


光る石を僕の手に渡すと、何故か剣を抜き出した。


「これを手に持って、俺に切られるんだ」


「ええー!嫌だ嫌だ無理無理無理無理」


逃げようとするも僕は逃げられない、身体が固まって、意識が上に持っていかれそうだ。


切られる事を覚悟した僕は勇者の名前を聞いた


「行く前に名前を教えてくださいよ!僕はタロウと言います。」


「俺の名前はファーウェイ・サラスト……」


シュン………


悲しい事に彼の名前の全ては聞けなかった、一体異世界とはどんな場所なのだろう。










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勇者とラスボス戦寸前で入れ替わった俺は異世界ライフを満喫出来ない! 水風船 @hundosiguigui

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