正太郎
明日葉が行ったのは、ある種のクーデターだ。
自動車事故により大怪我を負った重茂が病院で生死をさまよっている間に、明日葉及びその仲間は、五葉署内の勢力図を一気に塗り替えてしまった。
重茂は怪我を理由に刑事課長の座を降ろされ、重茂の側近、つまりは金井一派に属する人間達も次々と閑職へとまわされた。
見知らぬ中年男性を連れて事務所にやってきた明日葉は、その男を新しい刑事課長だと紹介した。
「彼は私の仲間の一人で、信用できる人間です。当然、反金井派だ。それに、生前の稔さんとも面識があります」
刑事課長と言われてもピンと来ない、どこか頼りない雰囲気の痩せて地味な男だった。その気持ちが伝わったのか、明日葉はニヤリと笑い、大丈夫ですよ、と付け加えた。
「あくまでリーダーはこの私だ。今後は私が責任をもって、新しい商店街を作るというあなたの夢を後押ししていきます。だけども、いろいろ面倒な事情があって、いきなり私が刑事課長に座るわけにはいかんのです。私自身、あなたの夢の叶うまでは、署内でゆっくり茶をすすっているわけにもいかんですからな。むしろ今の立場の方が、ずっと動きやすい」
その言葉通り、以降の明日葉の動きは、精力的なものだった。
測量や土木工事の事業者を事務所に連れてきて正太郎に紹介したり、役所との折衝に同席してくれたり、一緒に荒れ地を歩いて未来の街の姿を語ったりと、協力者を超えた同志といった臨み方で、正太郎を支えた。
数ヶ月後に実現した事務所の法人化にも、明日葉の知識や人脈が大いに活かされた。「メインターゲットを地元住人ではなく外から来る観光客に設定したい」という正太郎の意見にも賛同し、様々な資料を集めたり、旅行代理店の人間を連れて来たりした。
最初は半信半疑だった正太郎も、こうした熱意ある動きに、明日葉を信頼していった。
こうして正太郎は、美作加州雄に加え、明日葉忠男率いる警察という強力な後ろ盾を得、新しい商店街の実現という夢に向けて、本格的に動き出したのだった。
それから三年――
二十六歳になった正太郎を囲む環境は、大きく様変わりしていた。
正太郎の掲げる夢は町全体に知られるようになり、その事務所――法人化して「佐宗商事」となった――には多くの人間が出入りするようになった。五葉町東側の一帯に新しい商店街を作るという事は、もはや町全体の希望と呼べるほどのものになっていたのである。
かつては草の生い茂る荒れ地だったこの場所も、少しずつだが切り開かれ、整地されていった。既に何棟かの建物の建設工事も始まっており、正太郎を中心とした開発本部の会議では、五葉港で採れる新鮮な魚介類を使った料理を目玉商品にしようというような、具体的な話も活発に議論されていた。
対照的に、金井建設が運営する
松井松宇の体調不良はもはや隠し通せず、松宇が事実上の引退状態にある事は、誰もが知るところとなっていた。
松宇のワンマン企業だった金井建設は、リーダーを失い、茫然と佐渡商店街の衰退を見つめているしかなかった。他の方法で金を稼ごうとしても、少しでも住民の反感を買えば、悪事はすぐに正太郎に密通され、やがて美作加州雄が出張ってくる。
そんな身動きの取れない状態の金井建設を、佐渡商店街で店をやっていた住民たちも、徐々に見限り始めた。そして、中でも発言権の強かった大店が、双名商店街への移転を表明した途端、その流れに乗ろうと多くの店が移転を決めた。
五葉町の住民には、長いものには巻かれろの精神が根付いている。
かつて一丸となって正太郎を苦しめた彼らが、今度は同じく一丸となって金井建設に反旗を翻し、新たな希望に自らの未来を賭け、その中心にいる正太郎を称えるようになったのだ。
双名商店街への移転希望が集まり、様々な工事の予定が具体的に議論されるようになった頃、正太郎は会議の中で皆にある提案をした。
それは、聞いた誰もが耳を疑う、予想だにしない内容だった。
「正太郎さん……あなた……自分が何を言っているか分かっているのですか?」
珍しく感情を露わにした明日葉が、強い口調で言う。周囲にいた開発本部の人間も、それに同調する。
「いくらあんたの提案でも、そんな話に納得はできん」
「ああ、それを受け入れれば、私たちを繋げるものがなくなってしまう」
「だいたいあなた自身が、奴らにひどい扱いを受けていたんですよ。恨みはないんですか」
正太郎は困った顔を浮かべながらも首を振り、その独特の穏やかな口調で話した。
「恨みなんて、持ち続けていたところで何にも生み出しはしません。僕は双名商店街を、恨みの上に作られた町にはしたくないんです」
「だからといって、金井建設に双名商店街の施工業者に加えるだなんて、あなた、正気ですか」
正太郎は皆を見回して、目を閉じた。そしてゆっくりと頷いた。
「我々が、金井建設からの支配脱却を一つの目的に組織されたグループだと、わかった上での発言ですか」
明日葉が重々しく言って、正太郎は「ええ、もちろんです」と答えた。
「じゃあ、なぜ」
正太郎はひとつため息をつくと、あらためて皆を見回して、言った。
「憎しみ、怒り、恨み。そういったものが人にどう影響するか、僕は知っています。双名商店街は、そういったネガティブな感情の上に作られるべきものではない。こうしてたくさんの方に期待をいただくようになった今、そこだけは決して妥協してはならないと、強く感じているのです」
それに、と正太郎は続けた。
「それに、この決断が正しかったと分かる時が必ず来る。僕が保証します。ここで金井建設を仲間にしておかなければ、必ずいつか双名商店街にとっての脅威となる。私にはそれが、分かるんです」
正太郎の強い提案により、結局、今後の施工の半分近くに金井建設の監督やその下請けの職人を使うという方針が決まった。不満を口にする者たちもいたが、一方で、これこそが佐宗正太郎なのだと、これほどの懐の深さを持つ人間だからこそ金井とは違う町を作れるのだと、自分たちの計画に対する自信を深めてもいた。
後日、正太郎は明日葉を伴い、病床の松井松宇を訪ねた。病室には目付きの鋭い護衛が立っていたが、明日葉に凄まれると素直に扉を開けた。正太郎はあくまで丁寧に、穏やかに、これからの工事を手伝って欲しいと言い、頭を下げた。
松宇は病のせいで痩せ衰え、かつての迫力も失われていた。自分たちが中心となって行った正太郎及びミトに対するバッシングについて何も言わない正太郎に対し、立場上はまだ社長の座にある松宇は、ベッドの上で姿勢を正すと、「何卒、よろしくお願いします」と低く頭を下げた。
その際、正太郎は数年ぶりに丈三に会った。
緊張したが、久々に見る丈三は正太郎以上に緊張した様子で、おどおどと周囲を見回し、卑屈な、媚びるような態度で正太郎に挨拶した。傳田や藤城も社員として働いていたが、美作に植え付けられた恐怖は思いの外強かったらしく、無言で俯いているだけだった。傳田がその頬にできた痛々しい傷に手をやるのを見て、正太郎は、自分が彼らから本当に自由になれた事を実感した。
正太郎三十歳の春、双名商店街及び大正市場は一応の完成を迎えた。
当初の計画通り、五場港を囲むように広がっていた荒れ地一帯が、立派な商店街に変わった。
大正市場を玄関とするメイン通りには多くの店が並び、積極的なPR戦略もあって、オープン早々多くの観光客が集まった。
佐宗正太郎、そして正太郎を社長とする佐宗商事は、その事業の中心だった。かつて佐宗稔が、そして松井松宇がそうだったように、正太郎は五葉町の「顔」となりつつあった。
金井建設は佐宗商事の事実上の傘下となり、売上の九割以上を双名商店街関連の案件で得る状態になっていた。金井は佐渡商店街の維持にこだわる必要がなくなり、むしろ金井建設が仲介者となって、佐渡から双名への移転を世話するケースも増えた。佐宗商事は双名商店街の中に事業者向けの集合住宅も多く用意していたので、商店の開店や移転に伴い、住居ごとこちらに引っ越してくる者も多かった。
こうした経緯で、双名商店街に集まる人間はみるみる増え、反対に、佐渡商店街からは減っていった。オープンから三年も経った頃には、佐渡商店街及びその近辺の人口は最盛期の四分の一以下にまで落ち込んだ。五葉で「商店街」と言えば、もはや佐渡ではなく双名を指すようになっていた。
佐宗商事の社員も増え、事務所は手狭となった。そもそもが漁師の捨てた廃屋を改造した小さな事務所である。明日葉とも相談し、税金対策の一環という意味もあり、佐宗商事は五葉町のほぼ中央、山に囲まれた静かな場所を開いて新社屋を建設した。
和洋折衷の豪奢な館で、事務所だけでなく、住居としてのスペースも充分に確保されていた。商店街のそばではなく、わざわざ山を切り開いて立地としたのは、明日葉を始めとした幹部連中がしきりにセキュリティにこだわったからだ。
正太郎自身は彼らが何をそこまで恐れるのか、いまいち理解ができなかった。だが、「佐宗商事の視野が、商店街事業だけでなく五葉町全体に及んでいる事を示す事もできる」という意見もあり、最終的には納得した。
正太郎はかつて父がそうしたように、毎日のように商店街に顔を出しては、事業者や観光客らと積極的に交流した。
やさしくて明るく、人懐っこい正太郎を、誰もが好きになった。ニコニコ微笑みながら町をまわる正太郎の姿は、双名商店街の名物の一つとなった。「やあ正太郎さん、寄ってってよ」と、どこからでも声がかかり、正太郎もその一つ一つに喜んでつきあった。
平行して、正太郎は様々な人間と施設の拡充に努め、飲食店や生活用品店だけではなく、病院や学校、その他レジャー設備などの建設計画も進めていった。
アドバイスを求めようと都市計画課を訪ねた際、仕事の話が終わったあとで菰田は言った。
「それにしても順調ですな。これほどうまくいくとは、正直、思っていませんでした」
「ええ。皆さんの協力のおかげです。皆が前向きに役割をこなしてくれるからこそ、これだけ大きな事が成せている」
「町をいじくるとなりゃ、大なり小なり問題が出てくるもんだが、それもないでしょう。普通は町のゴロツキたちがねえ、やいやいと言ってくる」
正太郎は微笑んだ。机の上にところ狭しと並んだ書類を片付けながら、言う。
「我々には明日葉さんという強い味方がいますから」
「ああ、そうですね。それに、ゴロツキと言えば、一番のゴロツキだった金井建設はあなたたちの傘下だものな。ほとんどの売上を双名商店街に頼ってる状況で、文句を言えるはずもないか。――正太郎さん、こんな言い方をするのもなんだが、あなたは奴らの口をふさぐたために、金井建設と契約をしたんですか?」
正直な人だ、と正太郎は思う。そういった事は、思っても口にしない人間がほとんどだ。幹部の皆や、明日葉でさえ言わない。
正太郎はかつて菰田が、「真実など、ありはしない」と言っていた事を思い出す。あれは菰田の考えというより、叫びだったのだと今の正太郎には分かる。
菰田は本当は誰よりも真実を求めている。だが、それが見つからず、たとえ見つかったとしても自分の望む形ではなかったからこそ、あんな事を言ったのだ。
「僕はただ、あの人たちの仕事の腕を買ったまでです。当時、金井建設以外に商店街を作った事のある施工業者はいませんでしたしね」
「しかし……あんたは奴らにあれほど……」
なおも言う菰田に、正太郎は微かな苛立ちを覚えた。腕時計を見るふりをして、書類を封筒にしまい、立ち上がった。
「すみません菰田さん、そろそろ次の会合に行かねばならないんです。また近々お相談に乗ってもらえますか?」
「え、ええ。もちろん、私でお役に立てるなら」
正太郎は微笑んで頷くと、頭を下げた。菰田は事務所を出て、役所の玄関先まで送ってくれた。
「それでは、失礼します」
再度頭を下げ、運転手の待つ車へと足を進みかけた正太郎に、「あのう」と菰田が声をかけた。
「なんです?」
首を傾げる正太郎に、菰田は言いづらそうに、俯いた。
「こんな事を聞いてもいいもんか。だが、どうしても気になりまして」
「どうぞ。何でも聞いてください」
正太郎が微笑んで言うと、菰田は顔を上げて頷いた。
「美作加州雄は、どうしているんです。町での揉め事がなくなった今、彼の出番もないでしょう」
菰田の指摘は、実は痛いところをついていた。
美作加州雄の問題は、今や佐宗商事の抱える最もやっかいな問題といえた。
菰田が言う通り、一番の懸念だった金井建設を早めに取り込んだのは、双名商店街がオープンしたあと、彼らがそこで問題を起こす事を恐れたためでもある。
もちろん、あの会議の場で言った事に嘘はない。怒り、恨み、悲しといったものが、人間をどれだけダメにしていくか、正太郎は母親や自分自身の体験から学んでいた。だからこそ、自分の作る商店街からは、暴力や抑圧や無視といったものを、排除したかった。
その願いは、正太郎の望んだ以上の形で実現した。
町は平和だった。皆が笑い、前向きに働き、安心して眠りについた。互いが互いを思いやる事、優しく声を掛け合い、心配事があれば皆で解決していく事、その大切さを正太郎自身が体現して見せ、住民たちもそれに倣った。
また、菰田が「ゴロツキ」と呼ぶ類の人間についても、五葉署を仕切る明日葉の働きによって、ほぼ制御された状態にある。そして、金井建設も佐宗商事がその首を完全に掴んでいる状態だ。
双名商店街は、まさに正太郎が理想とする形を、形作りつつあったのだ。
だが、そこに影を落とすものがあった。
美作加州雄である。
菰田の指摘した通り、美作の暴力が必要とされる機会は、年々減っていた。
当初は毎日のように持ち込まれた相談事も、特に商店街の建設が本格化して以降は急激に減り、完成後はさらに減った。明日葉が重茂をはじめとした金井一派を警察から排除し、そして正太郎が金井建設を傘下に置いて、町の揉め事はほとんどなくなった。裏を返せば、それまでの相談事が、ほとんど金井に関連するものによって起こされていたという事でもある。
誰かを痛めつけてくれ、あいつを半殺しにしてくれ、あいつの腕を折ってくれ、そういった生臭い依頼が減って、正太郎は喜んだ。もともと、暴力は嫌いな人間だ。金のため、信頼のため、人脈作りのために仕方なく応えてはきたが、やらなくていいならばやりたくない仕事ではあった。そして実際に、美作の力を借りたいという依頼が何ヶ月もないような状態になった。
だが、それでストレスを溜めたのは美作だ。
正太郎は多忙の中、なんとか時間を見つけて美作を訪ねていたが、それが依頼のためではない事を知ると、美作は露骨に嫌な顔をするようになった。暴れたい、誰かをぶちのめしたい、と口にする事も多くなった。正太郎の目の前で、木の枝を折ったり石を投げたり、またま見つけた蛙を生きたまま引き裂いたりと、暴力的な行動を見せた事もある。
「なあ正太郎、俺に仕事をくれよ。頭がどうにかなりそうなんだ」
そう言う美作に、正太郎は何をどう言えばいいのか分からなかった。やがて美作を顔を合わせるのが気苦しくなり、徐々に山を登る頻度も減っていった。
そんなある日、佐宗商事の社員が、館のそばで倒れているところを発見された。
顔を強く殴打されており、頬の骨が折れ、弾けた皮膚から肉が見えていた。すぐに病院に運ばれ、命に別状はなかったものの、社員は言いづらそうに、犯人は美作だと証言した。
「まさか、そんなはずない」
正太郎は否定したが、心のどこかで、いつかこうなると予想していた自分に気付いてもいた。
すぐに山へと向かい、美作を問い詰めた。そんなはずねえじゃねえかと、いつものぶっきらぼうな口調で言って欲しかった。
だが美作は、苦しげな表情を浮かべながら、「だってよ……」と言い訳を始めた。
「お前が仕事をくれねえからじゃねえか。本当に、頭がおかしくなりそうになるんだ。誰かをぶん殴らねえと、気持ちがぞわぞわして、吐きそうになる」
「どうしてだよ! どうしてそんな事を、加州雄くん。昔は大丈夫だったじゃないか! 僕が君に依頼を持ち込むようになる前は、暴力がなくても、平気だったじゃないか」
「ああ、そうだった。確かに正太郎の言う通りだ。だけど、何かが変わっちまったんだ。毎日のように誰かを痛めつけていたら、それが当たり前になっちまって、それがなくなると、頭がおかしくなるんだ」
麻薬のようなものなのか、暴力の快感に取り憑かれた美作は、それなしでは生きていられないようになっていた。
「でも、だからって関係ない人を襲って……そんな事、していいはずがないだろ」
「ああ、わかってるんだ。わかってるんだよ。だから仕事をくれよ正太郎、悪い事をした奴を、ぶちのめされて当たり前って奴を、俺に教えてくれよ。そうすれば俺は、まともでいられるんだから」
巨大な肩が震えているのを見て、心が傷んだ。正太郎はそれ以上、美作を責める事ができなかった。
「やはり、美作でしたか」
館の執務室に戻ると、明日葉が聞いてきた。嘘をつく訳にもいかず、かといって認めるのも辛く、黙った。
「そうなんですね。やはり、美作なんですね」
額に手をやって呻きながら、明日葉はソファに深々と腰を下ろした。
「それで、どうなさるおつもりですか。今回はウチの社員だからまだいいが、矛先が観光客に向いたら大変な事になる。商店街どころか、佐宗商事が終わってしまいますよ」
「ええ……そうですね……」
同意はしたが、やはり解決策は見つからなかった。美作に暴力を捨てさせる以外、方法はない。だがその暴力は、美作にとって唯一の自信なのだ。かつて化物と恐れられ、山で孤独な生活を送ってきた彼の、唯一の存在意義なのだ。簡単にはいかない。
「正太郎さん、この際だから言いますが、私はあなたと美作との関係をずっと心配していました。あなたはこの町の中心となっていく人間だ。観光事業に注力していくのであれば、町だけじゃなく外の世界の人間とも多く付き合う事になる。そういうあなたに、美作のような不気味な存在がつきまとっていてはよくない。そろそろこの関係を精算するときなんじゃないですか」
「いや……しかし……」
明日葉の言い分ももっともだった。だが、正太郎にとっても、簡単に納得できる話ではない。
「彼のおかげで僕はここまで来れたのです。関係を精算するだなんて……僕が一人ぽっちのころから、僕を支え、僕を助けてくれたのは、彼なんですよ」
明日葉は目を閉じてううむ、と唸り、黙った。
「とにかく、結論を出すのは少し待ってください。僕がなんとかしますから、警察は動かさないでほしいのです」
「そこまで言うなら……分かりました。言う通りにしましょう。だが、何度も言いますが、もしも美作が外の人間まで襲うようになったら、もう終わりです。その時は必ず、何らかの決断をあなたにしていただきますからね。いいですか?」
反論の余地はなかった。正太郎は頷いた。
「わかりました。約束します」
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