第75話 石化進行

 浮遊する魔女アヴローラの胸元の聖印が輝いている。


「……淵術、黒雷」


 アヴローラが放った雷撃がアンリとアガサを貫く。


「うっ!ああっ!」


 アンリとアガサは顔を苦痛に歪め、膝をつく……アンリの装備が焼け焦げ、複合術式の刻まれた青いブラとショーツがあらわになった。


「……黒雷は思ったほど威力が出ませんね……後でウルスラに頼んでこの身体に淵術刻印を刻んでもらいましょう……へえ、貴女、随分と高級な下着つけてますね」


 魔女はアンリとアガサを見下ろしながら呟いた。


「はあはあ……」


 アガサは震える手で剣を掴む。


「黒炎剣!」


 アガサは赤黒い炎を纏った斬撃を浮遊する魔女アヴローラへ向かって飛ばす。魔女は石剣で炎を切り払う。霊布のドレスが焼け焦げたが身体にダメージはないようだった。

 

「淵術と加速術式の複合技……いいですね……」


 アヴローラは急降下しアガサを斬りつける……素早くオクタヴィアが間に入り、ハルバードで斬撃を受け止め、更にカウンターで魔女の右腕の光輪を破壊する。


「くっ……」


 魔女はオクタヴィアの追撃を石壁を形成し阻む。オクタヴィアは素早く銃弾を装填する。


「うっ、マズい……石化が……」


 アンリが苦しそうにうずくまる……先程、魔女に石の針を受けた場所から石化が進行していく。


「やはり解呪は難しいか……わたしの魔力を注いで何とか進行を……」


 アガサはアンリの身体に手を当て魔力を注ぎ込む。


「無駄ですよ、まともに受けて、むしろ良くもったものです……フフフ」


 ……アヴローラは笑みを浮かべ再び浮遊する。表情には余裕が見えるが腹部が不自然に脈動し少々汗ばんでいる……光輪を一つ破壊されたことで先程より高くは飛べないようだ。


「はあ……はあ……はっはっ……」


「大丈夫ですか?意識を保ってください」


 アガサが魔力をコントロールし石化の進行を抑える。汗が吹き出しアンリの呼吸が激しくなっていく……ルーネから受け取った青いブラとショーツが淡いを光を放つ……アンリは胸と下腹部に手を当てる。


「これは……また……うっぐっ……坑道のときの……」


 複合術式の刻まれたブラとショーツに瘴気が集まっていく。下着に刻まれた簡易淵術刻印により瘴気が魔力に変換され、魔力を着用者の体内に送り込み肉体と魔力を強化する。痛みとも快感とも言えない感覚が全身を走り抜ける。


「身体が……弾けそう……」


 アンリの身体が青い光に包まれる。複合術式の刻まれたブラに包まれたアンリの胸が汗に濡れ脈動する。アンリの黒髪が銀色へと変化していく。

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