第69話 石の魔女

「石棺」


 金髪の女が左手を挙げると床から四枚の石壁がせり上がり、四方からオクタヴィアの動きを封じようと彼女に迫る。オクタヴィアは封じ込められる前に跳躍し回避する。


「減速術式ラプスニードル!」


 金髪の女は跳躍中のオクタヴィア目掛けて幾本もの石の針を放つ。オクタヴィアはハルバードで石の針を払いながら後退する。


「ディアス立てるか?」


 アンリは女の姿に変異したディアスに駆け寄り手を差し伸べる。


「いや……足が上手く動かん……」


「手ぇ貸すぞ」


 金髪の女は新たに石剣を形成しディアスに向け投擲する。アンリは敵に向き直り、氷壁を形成し女の攻撃を防いだ。


「うっ」


 ディアスが苦しそうに胸を押さえる。汗に濡れた乳房が脈動しさらに大きさを増していく。


「……はあっ、はあ……」


「本来男が味わうことのできない子宮から魔力が湧いてくる感覚……身体が作り変えられていくの気持ちいいでしょう?……一つになりましょう……ねえ、アヴローラ様……」


 金髪の女は自身の胸元に刻まれた聖印を触りながら呟いた。


「?!誰だ!」


 ……何者かの気配に気づきアンリが叫ぶ……アンリとディアスの横に銀髪の少女が立っていた。


「誰だ?こいつは?いつの間に……」


「……ラプスニードル」


 不意に現れた銀髪の少女アヴローラの放った無数の石の針をアンリは氷壁で防ぐ。


「下がれディアス!」


「戦果は上出来……ベネラ、よくやりました」


 魔女アヴローラが床を足で叩く。彼女の足元が不自然に膨れ上がると巨大な拳に変化し、アンリに襲いかかる。


「くっ!」


 満足に動けないディアスを背にしたアンリは攻撃を躱すわけにもいかず、氷壁で巨大な石の拳を受け止める。


「まずい……」


 巨大な石の拳が氷壁を砕き、アンリを後方へと吹き飛ばす。

 オクタヴィアは銀髪の魔女アヴローラに迫りハルバードを振り下ろす。金髪の女ベネラが間に割って入り二振りの石剣でオクタヴィアの攻撃を受けとめる。


「ちっ!これはなかなか……」


 ……銀髪の魔女アヴローラはディアスの背後にまわり手を伸ばす。


「あなたも……わたしとベネラ……三人で楽しみましょう……」

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