第50話 魔女の口づけ
「何?あれは?」
ルーネは立ち上がると、息を整えつつ、ポールアックスを構える。
「魔力によって変異したのか?あの黒いドレスの女、何者なんだ?」
「只者じゃなさそう……何か手は……」
・・・・・・
ヴィルジニーは虚ろな目で魔女エシャールの顔をじっと見つめる。
「エシャールさん……もっと欲しいです」
今度はヴィルジニーの方から魔女エシャールへ唇を重ねていく。
「んっ……凄い……魔力……」
魔女エシャールの魔力がヴィルジニーに流れ込み彼女の全身を満たし、褐色の肌が汗に濡れていく。
「……気持ちいい……」
魔力を取り込んだヴィルジニーの下腹部が小刻みに脈動している。
「下腹部が熱いでしょう?私の魔力が貴女の身体を魔力炉に作り替えているの」
魔女がヴィルジニーの耳元で囁く。
「全身が熱い……フワフワする……自分の身体じゃないみたい……」
悦楽と狂気に身を委ねながらヴィルジニーは呟く。
「ねえ、ヴィルジニーさん……聖槍と一体化出来れば、不老の肉体と今よりも強大な魔力が手に入るわよ……聖槍の引力には抗えないですもの……食事や排泄も必要ない女神の肉体……まあ、生殖器が完全に魔力炉に変異してしまうから有性生殖が出来なくなるけれど」
……ヴィルジニーの腕から蔓草が伸びてルーネへ襲い掛かる。
ルーネは幾度も襲いかかる蔓草をポールアックスで斬り伏せ、さばききれないものは減速術式で凍結させていく。
「闇を彷徨う見えざる剣の刃、魔剣の疾走!」
ヴィルジニーはルーネの放った淵術の一撃を結界で受け止める。
「黒の衝撃」
ルーネはヴィルジニーの放った淵術の奔流を躱し、魔力を込めたダートを投擲した。しかし、ヴィルジニーの伸ばした蔓草に阻まれる。
「うっ、はあはあ……フフフ……力がみなぎるわぁ……」
ヴィルジニーの身体が魔力に包まれ、新たに二本の腕が生み出される。更に伸びた蔓草を魔力で変異させ二振りの緑剣をつくりだす。
「くっ!魔剣の疾走!」
ルーネは淵術を放ち、更に氷の刃を形成し投擲する。ヴィルジニーが淵術と氷の刃を緑剣で防ぐ隙にルーネは一気に踏み込み間合いを詰めようとする。
「させないわ」
一気に間合いを詰めポールアックスを振り下ろそうとするルーネ。その彼女の首にヴィルジニーの蔓草が素早くまとわりつき、締め上げる。
「うっぐっ、あっ」
「へし折ってあげる」
必死に抵抗しながら、減速術式で首を絞めつける蔓草を凍結させ粉砕する。
「はあはあ……」
ルーネは苦しそうに膝をつくが即座に立ち上がると、ポールアックスでヴィルジニーへ攻撃を仕掛ける。緑剣とポールアックスが幾度も激しく打ち合う。
「凍れ!」
幾度も打ち合った緑剣に減速術式の冷気が伝わり、剣を握るヴィルジニーの手元を少しずつ凍りつかせていく。
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