第十三章 最終戦

『さぁ!2023年全日本モトクロス選手権、第9戦、ここ奈良県名阪スポーツランド』

『現在トップを走るのは、開幕戦、復帰していきなり好成績を残したジミー』


 MCよっちゃんの実況がサーキット場に、爆音と共に流れる。


『その後、残りのレースも入賞圏内で成績を残し第9戦をトップで走っている』

『二位は・・・』


 五年間のブランクがありながらもジミーは、トップを快調に走る。


『いよいよファイナルラップ!二位以下を振り切りぶっちぎり状態』


 そしてジミーは、ゆっくりと最終コーナーを立ち上がると・・・


 ガッツポーズをしながらフィニッシュジャンプを通過する。


『そしてフィニッシュ!遂に、遂にやったぞ、ジミーだ。ジミーが優勝だ』


 復帰後、第9戦目にしてジミーは優勝した!


『さぁ、これで話が変わって来たぞ』

『今回ジミーが優勝したことで、ポイントランキングが変動する』


 シリーズポイントの集計がされ、


『一位、300ポイントでトッチーと同ポイントで大島。二位、298ポイントでMr.チャンプ。そして、三位、296ポイントでジミー。これは最終戦のチャンピオン争いが楽しみですね』


 今大会のレース模様を改めて解説し、


『それでは皆さん二週間後の徳島県で行われる最終戦、美馬モーターランドでお会いしましょう。さよなら』


 MCよっちゃんの実況と共に大会が終わる・・・


 前回のレースから早二週間が経ち、決勝日の前日、

 2023年11月21日土曜日、各クラスの予選が行われ、

 "全日本モトクロス選手権・国際A級クラス・シリーズチャンピオン”を賭けた今年、最後のレースとなる日。

 また、会場はジミーの育った地元のサーキット場で行われる。


 前日に降った雨の影響でジミーは苦戦し、またプレッシャーに負けるも、なんとか五位で予選を通過した。


 予選終了後、全チームのメカニック達は明日の決勝に向けて、最終のマシン整備を夜中まで行う。


 いつもなら会場が県外の場合、車中泊か近くのホテルを利用するが、

 ジミーは、会場から自宅まで1時間30分ぐらいの距離なので一度帰宅するため、会場を後にする。


 家に着き、車から降りると人影が・・・


『久しぶり、明日最終戦だね・・・』


 家の前で待っていたジュリアが声を掛けてきた。


「えっ?おっ!?久しぶりやな、元気しよったん?」

『うん』


 すると彼女は、ジミーの胸に飛び込み、泣きながらポツリ、ポツリと話し出す。


『ジミーと離れて気付いたの・・・』

『やっぱりジミーのこと愛してる・・・』

『ジミーの側に居たい・・・』

『だけど夢を追いかけるジミーを見ていられない・・・』

『だから・・・』


 そんな彼女の気持ちに、


「俺もやし!ほなけど夢も諦めれんのんよ」

「だから、もう少し待ってだ」

「必ず夢掴んで帰ってくるけん!」


 そう言い彼女を抱きしめる。


「ありがとう」

「それまでジュリアが待っててくれるなら、その時結婚しよ」

『うん!私ずっと待ってるよ』

『だから無事に帰ってきてね』


 ジミーはジュリアに約束をし、二人は熱いキスを交わした・・・


『ずっと待っとるけん』

『今日は、一緒に居てくれる?』

「襲うかもね」

『もぉ~スケベぇ!』


 と、二人は、じゃれながら家に入って行った・・・

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