第十一章 メカニック

 レースをできる環境と、スポンサー契約ができたジミーは、次にマシンの手配とメカニックを探す。


 当時、メカニックをしてくれていた深田に電話を掛ける。


「久しぶりです。元気にされてますか?」

『珍しいな?どういう風の吹き回し?』

「この度、またレースに復活することになりまして・・・」

『そうなのか・・・で、チームは?』

「プライベーターで行きます」

『なるほど、それで俺に電話してきたってことか?』

「はい・・・僕が引退後、世界GPのチームにメカニックとして就職されたのは存じておりますが、復活するのでご挨拶させて頂きたくお電話しました」

『それはわざわざすまないね。メカニックは決まったのか?』

「決まってないです。これから探そうかと・・・」

『分かった。なら、話通しておくから坪井ってメカニックに頼れ』


 坪井と言うメカニックの連絡先を教えると、


『ま、頑張れよ』

「すみません、助かります」

「ありがとうございます」


 と、電話を切る。


 そして、紹介してもらった坪井氏を訪ね、隣県にあるバイク屋さんに向かう。


「すみません、坪井さんいらっしゃいますか?」

『俺だけど・・・』


 バイクを整備しながら振り向く。


「あ、深田さんから紹介で来ましたジミーです」

『あぁ』


 坪井は、整備している手を止め、


『深田君から聞いてるよ」

『ま、お茶でも飲みながら話そうか』


 そう言い、席に案内される。


『君の事は知ってるよ。急に引退したから当時はびっくりしたよ。期待してたんだけどな・・・』

「そう言って頂きありがとうございます」

『で、レースに復活するのかい?』

「はい、来年の全日本モトクロス選手権にエントリーします」

『そっか』


 坪井は片手に持ってたお茶をテーブルに置く。


『で、メカニックを探してるんだね?』

「はい!是非お願いできませんかね?」


 坪井は、ジミーの目を見ながら少し間を空け・・・


『一度君の走りを見た時は衝撃だった。誰よりも派手さが無いが何故か速い、感動した。こいつなら世界チャンピオンいけるのでないかとね。是非、メカニックさせてもらうよ』

「ほんとですか?ありがとうございます」


 二人は、握手をし、契約が成立した。


『それと、ジミー紹介しておくよ』


 そう言いながら奥でバイクを整備してた女性を呼ぶと、


『この人は京子で、うちでメカニックをやってるんだ』

『レースの時、ヘルプメカニックとして同行してもらうからよろしく』


 京子は被ってた帽子を取り、


『京子です。よろしく』

「ジミーです。よろしくお願いいたします」


 と、挨拶を交わした。

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