第6話 公爵と面会

「身だしなみは、、これで大丈夫よね?」


今日は公爵及び父親と面会する日だ。


今は午前一時半。

アメリアは地図を頼りに自分の部屋を出ようとしていた。


「行ってきまーす。」

椅子に座らせてあるうさぎのぬいぐるみにそう声をかけた。


うさぎのぬいぐるみはアメリア自身が縫ったものだ。

中々に上出来だと自分でも思う。


、、、、ずっと部屋にいたからか自分の部屋が家みたいに感じてしまう。


廊下を歩いたりして気づいたのだけれどこの家装飾品がなんか高級っぽいのばっかり。

自分の家なのに飾りを壊さないか心配でビクビクしながらアメリアは歩いて行った。


♢♢♢


ティールームの部屋までなんとか来れたが護衛騎士が周りにいて入りにくい。


公爵って自分の家の中歩くだけなのに護衛騎士つけなきゃいけないんだ。

めんどくさ。


「どうぞ。」

ドアの真横に立っていた執事らしき人がドアを開けてくれた。

ちょび髭の毛先がくるんとなっていてなんかアニメに出てきそうな執事だった。


「ありがとう。」


ティールームに入り、中を見ると一人の男が座っていた。


「ご機嫌よう。フローレンス公爵閣下。」

公爵は青紫の髪に氷のような目をした人だった。例えるならイケオジの異世界版。

アメリアは優雅にカーテシーをし、席に座った。


テーブルの上にはティーセットやお菓子はなく、カスミソウが入った花瓶だけが置かれてあった。


「カスミソウ、とてもお綺麗ですわ。まるで天使アンジェラの花飾りのよう、、。つい、見惚れてしまいますわ。」


天使アンジェラとは【エルビス王国】に伝わる神話『喜劇と悲劇』に出てくる喜劇の少女【アンジェラ】のことだ。ちなみに悪魔の名前はルシヴァン。



「、、、用件はなんだ?」

返ってきたのはたった一言。


「、、、、。」

この人には人間性というものがないのだろうか。


アメリアは静かに怒っていた。


私は生まれて間もない頃に会ったから公爵の記憶がないの分からないのかしら?


なんで平然とさっさと言えみたいな態度でいられるの?


父親の自覚はないのかしら?


アメリアの脳内を駆け巡るのは公爵に対する怒りの言葉。

しかし、カッとなったからといってそれを全て言ってしまったらこちらの負けだ。


「、、、私、隣国の『イクアリティ学院』に行きたいのです。」


「、、、、、そうか。」

普通の貴族だったら娘が【エルビス王国】内の貴族学院に行かないだなんて激怒するだろう。


なぜなら『イクアリティ学院』は成績が良ければ平民でも通える、貴族と平民が一緒に学べる学院だからだ。


一方『エルビス貴族学院』は名前の通り貴族しか通えない。【エルビス王国】はまだ平民と貴族による格差社会が激しいのだ。


アメリアが驚きの発言をしても、公爵は何も動じなかった。

むしろ無関心にも見える。


「、、、少し、考えておく。」

それだけを言って公爵は挨拶もなしにティールームを出て行った。


公爵も後ろ姿を見てアメリアは無性に腹がたった。


「あんの男、、、、。いつか絶対見返せてやる。」

アメリアの強いプライドが意地を見せた瞬間だった。




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