羽
マーリアちゃんとイレーヌちゃんとボクと3人で、オルセー美術館に行った。
閉館まで、ずっと絵を観ていた。
閉館の時間になったから、3人で美術館を出て、セーヌ川沿いを歩いていた。
そしたら、みんな羽をつけて地上を飛んでいた。
「あれ~?なんか、みんな、地上を飛んでいるねーっ?」
「ほんとだねー!今、はやってるのかな?羽つけて飛ぶのって」
「えーっ?知らなかったわー」
3人とも、ちょっとびっくり。
「ていうか、マーリアちゃんにもイレーヌちゃんにも背中に羽あるよーっ!」
「あれー!イレーヌちゃんにもあやめっちにも羽あるわよーっ!」
「えーっ?マーリアちゃんにもあやめっちにも羽あるよーっ!」
「えーっ?みんなに羽あるよーっ!」
うわーっ!スゴいーっ!これでみんなでお空を飛べるのかなーっ?
やったあああ!
って思ってたら、夢だった...
今日はパリから大阪への旅立ちの日。
パリの空港から関西国際空港へと飛び立った。
大阪の家は、京都にめっちゃ近いところにある。
電車に乗って2駅も行けば、もう京都府だ。
もともとは、ママのほうのおばあちゃま、おじいちゃまの住んでいた家。
ママも、この家で生まれて、この家で育った。
高校生の時も、高校を卒業して働いていた時も、ずっと、この家に住んでいたらしい。
ボクは今回、初めて、この家にやって来た。
おばあちゃま、おじいちゃまも、ちょっと前までは、この家に住んでいたんだけど、ふたりはサンフランシスコに移住した。
サンフランシスコには、ご先祖様も、アクセサリー店をやっていたり、ミュージシャンだったり、いろいろ、つながりもあるみたい。
それで、サンフランシスコで暮らしている。
家には、広いきれいな庭もある。
庭には、芝生もきれいに植えられていて、いろんな木々や草花も育てられている。
池には鯉も泳いでいる。
家の中の作りも、日本的な部屋だったり、洋風の部屋だったり、めっちゃ可愛くて趣味の良き作りになっている。
なんとなく、家に来た瞬間に、なんだか、家を守ってくれてるような、霊の存在を感じた。
ボクの部屋は2階だったから、階段を登った。
そしたら、2階からも、なんか、霊のような存在を感じた。
ボクは、一気にダーッと階段を登って、ボクの部屋の中にピューッと入ってみた。
部屋の中にも、なにやら、霊のいるような気配を感じた。
それでボクは
「こんにちはー」
って、部屋の中に向かって、言ってみた。
そしたら
「こんにちはー」
って、女の子の可愛い声、聞こえてきた...ような感じした。
「今日からよろしくねー!」
って、言ってみたら
「よろしくねー!」
って、女の子の可愛い声で返ってきたような気した。
空里の部屋も2階なので、空里にも
「なにか感じる?」
って聞いてみた。
「なにかって?」
「そうやな~、霊のような感じみたいな...そんな感じの、なにか」
「あ~、なんとなく、感じるよっ」
「えーっ?やっぱり?空里にも感じる?」
「うんっ!なんとなくだけど、家全体を守ってくれてるような霊と~、あとは部屋の中にも、また、その部屋にいる霊みたいなのを感じる...」
「えーっ?そやろー!やっぱりな...」
1階に降りて行って、ママに
「なんとなく、この家には、家を守ってくれてはるような霊の存在を感じるねっ」
って言ってみたら
「まあ、昔から、そういうような感じはしてたけども、日本っていうところは、特に関西っていうところは、そんな感じのする場所なのかもね~」
「ふぅ~ん。そうなのか...」
「あと、だんだん、あやめっちにも、わかると思うけど、このあたりは、京都と大阪との中間地点で、まわりには古墳も多いし、そういう霊的な雰囲気の漂っている土地柄ではあるんやけどね~」
「へぇ~、そうなんや、やっぱり...」
「そういうのって、めっちゃ日本的な雰囲気やろ?...あやめっちの感じている雰囲気は...」
「うんっ!そうやな~」
「パリとかロンドンとかと、またぜんぜん違った、めっちゃ日本的な雰囲気やもんな~」
「そうやな~、そんな感じやな~」
「関西は日本文化の発祥の地でもあるから、そういう、あやめっちの初めて感じるような雰囲気も持っている場所やから...」
「うん、うん」
「発祥の地って、わかるか?」
「うんっ!そこから生まれたっていうような感じやろ?」
「そうや!せやから、このあたりにも、いろいろ、日本文化の精神的な雰囲気も、結構漂っているんやな~」
「ふぅ~ん」
「精神的な雰囲気って、わかるか?」
「えっと...日本の心っていうか、気持ちっていうか?そういう感じのやつ?」
「まあ、そやな~!だから、あやめっちも、そういうのを日本に来て初めて感じるのも、間違ってないんやで~」
「ほんま?」
「ほんまほんま!あやめっちも、敏感っていうか、繊細っていうか、半分は日本人やからな~、やっぱり」
「そっか」
「日本的なものも、やっぱり感じるんやな~さすがやわ」
「えへへへ」
「わたしも、なにか、ちょっと、そういうの感じたよー」
「あっ!空里も、やっぱり感じたんや?」
「うんっ!めっちゃ日本なやつ...」
「あははは!日本的なやつ?」
「うんっ!日本的な何か...」
「空里も半分は日本人やからな~」
「えへへへ」
「今日はすき焼きにでもしようか?晩ごはんは?」
「やったあああ!すき焼き大好きーっ」
「すき焼き大好きやきーっ」
「あははは」
「タコ焼きとか、お好み焼きもーっ」
「まあ、そのうちにねっ」
晩ごはんに、すき焼きを食べた。
それから、自分の部屋で寝ていた。
寝てても、なんとなく、なんていうか、ちっちゃなお人形さんの存在を感じた。
なんか、南の島のお人形さん。
ハワイとかタヒチとかの、ダンサーさんのような、ちっちゃな可愛い女の子のようなお人形さん。
夜、寝ていたら、夢にも、そんなお人形さん、出てきた。
でも、顔も体も泥んこのようだ。
朝、起きて、ボクは、なんとなく、庭を探してみた。
裏庭には、物置小屋もあって、草むらもある。
裏庭の草むらの中を探してみた。
そしたら、夢に出てきたのと同じようなお人形さん、泥んこになって転がっていた。
拾い上げて、お湯で優しく顔や体を洗って、きれいにしてあげたら、めっちゃ嬉しそうに、笑ってボクのことを見ているようだ。
部屋に持ってあがって、タンスの上に、お人形さんを置いてみた。
そしたら、フワッと髪の毛と腰みの、一瞬揺れたように見えた。
きっと、お人形さん、お礼に踊ってくれたんやな~って思った。
空里も、ボクの部屋に入って来て、お人形さんを見つけて
「うわっ!可愛いお人形さん」
って言って、ほっぺたをつんつんって、触っていたら、ニコッて、微笑んだように見えた。
「あーっ!お人形さん、笑ってくれてるーっ」
って、空里も言っている。
その日の晩は、寝てたら、夢に、いろんなお人形さん、いっぱい出てきて、南の島の女の子のお人形さんも、嬉しそうに笑っている。
夢の中で、そのお人形さんを見つめていたら、笑ってボクのところにフワッと飛んできた。
夢の中でボクは、飛んできたお人形さんをキャッチして、抱きかかえていた。
朝、目覚めて、タンスの上のお人形さんを見てみたら、ボクのほうを優しく見つめているようだった。
ボクは、お人形さんに向かって
「動け~、動け~、飛べ~、飛べ~」
って念じてみた。
そしたら、なんとなく、本当に、ススッて、ほんの少し、ボクのほうに向かって動いたように見えた。
お人形さんそのものは、海外の南の島の女の子の可愛いお人形さんなんだけど、心で通じあってるのかな~って思った。
お人形さんに
「よろしくねー!」
って言ったら
「よろしくねー!」
って返ってきたようだった。
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