ロワール

家族4人で、ロワール渓谷の古城に行った。

めっちゃきれいな川のほとりに古城はある。

レオナルド・ダ・ヴィンチさんのお墓も、このロワールの古城の中にあった。

「イタリアの画家なのに、なんでフランスのロワールにあるの?」

って、ママに聞いてみた。

「レオナルドさんは、晩年に、ロワールのお城に招かれて、それ以来ずっと、ここのロワールで暮らしていたからやでー」

「えーっ?そうやったんやー?」


「あやめっちも、お城に住みたいの?」

って空里に聞かれた。

「それは空里のほうやろーっ!」

「あはは、お城に住んでみたいな~」

「ほんまそれな~」

「ほらーっ!やっぱり、あやめっちも、お城に住みたいんやないのー!」

「まあな~」


それから、モン・サン・ミッシェルのほうにも行ってみた。なんか面白い風景やった。

「空里ひとりやと、どっか行ってまいそうやな~」

「どっかって?」

「なんか、いつの間にか、地中か水面に埋もれてまいそうやわ」

「あはははは、ほんまやな~」

って、ママもパパも笑っている。

「なんでやねんな~カニさんとかとちゃうねんから...」

「空里ひとりになったら、あかんで~」

「じゃあ、あやめっちに、ずっと、おんぶしといてもらおーっ」

「じゃんけんで負けたほう、おんぶするんやで~」

「えーっ?じゃ、やめた...」

「でも空里なら、泳げそうやからなー」

「ほらーっ!そやろーっ!どっかに行ってまいそうなんは、あやめっちのほうやでー」

「うんっ!たしかに...そうかもしれへん」

「ほんまやでー!あやめっち、ひとりになったら、あかんで~」

「じゃあ、空里におんぶしといてもらおっ!」

「いややー!」

名物のクレープを食べた。

空里は何枚も食べてたから

「何枚食べんねんなー」

って、つっこんだけど、まだ食べている。


パパは今、主に絵を描きながら広告の仕事もしている。

ボクの4年生になる時に、日本へ転勤することになった。

「日本のどこになるかな~?」

って言ってたけど

「大阪になったで~」

「ええーっ?大阪なん?」

「あやめっちも空里も、大阪行くのはじめてやろ?」

「日本に行くの、はじめてなんやから」


「ママとパパは、大阪で出会ったんやでー」

「想い出の土地なんや」

「ほんまは、その前に、サンフランシスコで出会ってるんやけどなっ」

「えーっ?サンフランシスコ?」

「初めて、ふたり、出会ったのはサンフランシスコなんやから...」

「へぇー、そうやったんや」


その同じ頃に、ロンドンにいる、さよりん家族は沖縄に転勤することになったらしい。

さよりんは沖縄で中学生になるのかー!

さよりんから手紙来た。


「あやめっちへ!

うちは、春から、ロンドンから沖縄に引っ越すことになりました!

那覇市の中学に入学します!

あやめっちとロンドンで出会ったのは、あやめっちも、まだ赤ちゃんの時です!

赤ちゃんのあやめっちは、めっちゃ可愛くて可愛くて可愛いかったです!

赤ちゃんのあやめっちは、うちのことをじーっと見つめてくれるから、うちも、あやめっちのことをいつまでもじーっと見つめてました!

それから、あやめっちもちょっとづつ成長して、いっしょにテムズ川のほとりを散歩したりしました!

あやめっちの手は、めっちゃ可愛いから、いっしょに散歩に行った時も、うちは、あやめっちの手をいつもギュッてにぎりしめて、いっしょに歩いてました!

歩いてると、お空に鳥さんたちも飛んでいて、あやめっちは、鳥さんたちの飛んでいるのをめっちゃ喜んで見ていました!

鳥さんたちは、お空を飛んでいるのに、川でも泳いでいるから、あやめっちは、そんな鳥さんたちを見て、めっちゃびっくりしてました!

大阪に行っても、あやめっちも4年生から大阪の小学生ですね?

大阪に行っても、うちは沖縄だから、同じ日本なので、またきっと会えますね!

じゃあ、またね!さよりんより」


そしたら、ロンドンのジェニーちゃんからも、手紙来た。

「あやめっちへ!

あやめっちは、春から、日本の大阪に行くのですね?

わたしはピアノをずっと続けてますよ!

あやめっちと最初に会ったのは、ピアノ教室ですね?

あやめっちは、わたしのななめうしろに座ってて、めっちゃ可愛かったから、いつも、あやめっちの弾いてるところを応援していました。

それから幼稚園もいっしょだったから楽しかったです!

大阪に行っても、たまにはピアノも弾いてくださいね!ジェニーより」


ボクはさよりんに手紙を書いた。

「さよりんへ!

さよりんは、ボクのちっちゃいころから、いつもボクのことをやさしくギュッとだきしめてくれていて、めっちゃきもちよかったです!

テムズ川ぞいをいっしょに散歩にいく時も、いつも手をギュッとにぎってて、ひっぱっててくれてたのをおぼえています!

パリに引っ越すときに、さよりんに言わないで行ってしまって、ごめんなさい!

日本に行っても、また会いましょう!

あやめより」


ジェニーちゃんにも手紙を書いた。

「ジェニーちゃんへ!

さいしょにピアノ教室で、ジェニーちゃん、ボクのななめ前にすわっていて、いつもボクのほうを見てくれていたのを今でもおぼえています!

だから、ピアノもいつも楽しかったです!

幼稚園でもいっしょだったから、毎日、幼稚園でもジェニーちゃんといっしょでめっちゃ楽しかったです!

パリで、ジェニーちゃんのピアノも聞けてよかった!

これからもロンドンで、ピアノをひいていてくださいね!いつか、また聞きたいです!あやめ」


ついでにマーリアちゃんにも手紙を書いた。

「マーリアちゃんへ!

マーリアちゃんとは幼稚園で会って、小学校でもいっしょに行けて、よかったです!

さいしょは合唱をいっしょにやってたけど、マーリアちゃんはバレエのほうをやりだしましたね!パリでバレリーナになってね!

ボクは春から日本の大阪に行きます!4年生からは大阪の小学校です!またいつか会いたいですね!あやめより」


そしたらマーリアちゃんからも手紙来た!

「あやめっちへ!

あやめっちとは幼稚園で出会ったけど、いつも女の子みたいに可愛かった!あやめっちのカバンも可愛くて好き!

小学生になっても、いっしょだったから楽しかった!

合唱もさいしょはいっしょにやってたけど、わたしは今もこれからもバレエをやっていきます!いつか見に来てね!日本の大阪に行っても、合唱やったり、いろいろやってね!空里ちゃんにもよろしくねーー!!バイバイ~!またねー!マーリア」


イレーヌちゃんは家に会いに来てくれた!

セーヌ川沿いをいっしょに散歩した。

「あやめっちは、大阪に行っちゃうのかー!」

「イレーヌちゃんのおかげで、ロンドンのさよりんとも、つながることできて、よかった!ありがとうー」

「大阪に行っても走り幅跳びやってね?」

「あははは、わかんないけど...やるかもしれないけど...でもいつもイレーヌちゃんに見てもらってたからな~!それで気合いも入って、跳べてたんだけどな~」

「合唱もやってね!」

「イレーヌちゃんといっしょだったから、フランス中、遠征しててもめっちゃ楽しかったんだよー!」

「大阪行ったら、きっと、大阪のともだちもすぐ、いっぱいできるよー!」

「そうかなー」

「イレーヌも、大阪にもそのうち行くかもしれないよ」

「うわーっ!イレーヌちゃん来てねー!」

「うんっ!待っててねー」

「待ってるよーっ」


それから、セーヌ川の遊覧船にいっしょに乗ってパリの街を眺めた。

オルセー美術館にもいっしょに行って、ふたりの好きな「ヴィーナス誕生」の絵をいっしょにずーっと観ていた。


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