デート
それから、また1週間後、その女の子に会いたくなって、梅田の百貨店に行った。
ってか、週1でも、月に4回やないかいっ!
好きな女の子に会うの、月4回だけやなんて、めっちゃ少ないわ!少なすぎるよ!
年に48回やないかいっ!少な!めっちゃ少な!
もしかしてAKB48の48って、ここから来てんのかな?年に48回会うから。。。って、ちがうか?たぶん、ぜったいに、ちがうわっ!きっと、ちがうような気する。もっと会うやろ!年48回どころか、年に96回は会うんちゃうか!よう知らんねんけども。
でも、あと4回会えば100回やなー!
年365日のうち100回推しと会えれば良いか!いや、100回って少ないのか?推しと年に100回って、もしかして少ないのかー?
でも今日もまた会えるかなー?会いたいなー!って思って、めっちゃドキドキしながら...
いつもの同じ階に行って、同じ売り場のほうをチラッと見てみたら、、、その女の子、また売り場にいてくれてた!ボクのために!ボクに会うために!あっ、ちがうかっ...
毎日いつも、その売り場で働いているのか。
いや、ボクに会うために、その売り場にしてくれてたのかもしれへんなっ!あえて、その売り場に!女子の下着売り場に!あっ、ちがうかっ...ボクの行く前から、その売り場担当やったのか。
ほんま、どっちやねんな!って感じやな~。あはははは!
さあ!今日もまた、あの子に会いに行くでー!やったあああ!
って、足は、その子のいる売り場へと、一目散に向かうけど、他のとこを全く見向きもしないで、女の子のとこに行くと、あの子も、もしかして「いつも他のとこに行かんと真っ先に、この下着売り場に来てくれるなー」って思ってたりするかな?
まあ、えっか!そう思われていたとしても...
よっしゃ!行くでーっ!
でも、一目散にっていうのは、逃げる時に使うんやろか?
一目散にっていうのは、あの好きな女の子に向かって飛んで行く時には、使わへんのやろか?それとも使ってもええんやろか?
日本語の表現は、いろいろあって奥深くて、意味深で、でも、それは日本語のめっちゃスゴいとこでもあるし...
どっちなんやろな~?日本語もっと勉強せなあかんな~!日本語のこと、もっともっと知らなあかんな~!あの女の子に、日本語のこと、教えてもらうかっ!日本語の先生になってもらおうかっ!個人的にレッスンを受けたろかな?あの子に個人レッスンを!恋のレッスンも!なんちゃって...
恋のレッスンも。めっちゃ受けたいなー!
あはははは!はよ会いに行かな!
☆
今日も、あのカッコええフランスの人、売り場に来てくれはるかな~?今日もまた会えるとええなあ~!って思っていた。
毎週、来てくれて、なんか買ってくれはるし。
毎週、うちに会いに来てくれはるし。うちに会うために来てはるし...って、ちがうかっ!アディダスの下着、好きで買いにきてくれてはるのか!うちのこと好きなんやなくて、アディダスの下着を好きで、毎週、来てくれてはるんやなっ!
そしたら、なんとなんと!また今週も、また、ほらっ!あのフランスの人、来てくれたーっ!やったあああ!
この階に来たら、他のとこに行かんと、いつも、真っ先に、この売り場に来はるからな~。
いつもみたいに、今日もめっちゃシュッとしててカッコええわー!
アディダスめっちゃ好きなんやなー!
たしかに、カッコええもんなー!
あのカッコええフランスの人にも、めっちゃぴったりやわ!
ぜったいに似合ってるわー!
女子の下着売り場担当で良かったわー!
とか、いろんなこと思ってたら、なんか紅くなってしもたみたいやわ。
どないしょ~!接客と販売のお仕事やのに、お客さんに紅くなってもうてたら...ええんやろか?って、いろいろ考えてたら
「こんにちは~」
って、また、うちに言ってくれた!めっちゃカッコええ声で!あかんっ!ドキドキしてきた!紅くなってまうわ!
「いらっしゃいませー」
って、平静を装って、いつも通りの普通の接客販売の仕事をやろう!って思った。
「今日も自分用にアディダスのカッコ良いデザインのやつ、買いに来ました」
って、めっちゃカッコええ声で、うちに言ってくれてはる。
そして今日も、アディダスのカッコ良いデザインのやつを1枚選んで買ってくれた。
たしかに週1で下着ほしくなる気持ちも、めっちゃわかるわっ!うんっ!うんっ!わかるわかる!その気持ち!うちも、めっちゃわかるで~!うちも毎日見てて、めっちゃほしなるもんな!毎日1枚は買いたいくらいやもんな~!
「あの...」
「はい?なんでしょうか?」
うちは、平静を装って言った。
「しらくまさんなんですね?」
って、うちに言ってくれてはる。
「あっ、はい!しらくまです」
「高校生の時にニースに住んでいて、その時に出会った日本の女の子も、しらくまさんって言ってたものですから...」
「ええー?そうなんですかー?」
「あっ、はい!その女の子も、大阪から来たって言ってました...」
「ええー?大阪から?」
「はいっ!その女の子は、えま・しらくまさんって言ってました...」
「えま・しらくまってお姉ちゃんやんっ!」
って思わず声に出してしまった。
「あっ、いえ、すみません...うちの姉も、しらくまえまなもので...そのお方と同じ名前ですね」
「今日は何時にお仕事終わりますか?」
って聞かれて
「今日は9時頃です」
って答えたら
「じゃあ9時には、百貨店の1階の入り口のところで待ってます」
って言われた。いつもの、めっちゃカッコええ声で。
仕事を終えて、ちょうど9時くらいに、1階の入り口付近に行ったら、フランスのカッコええ人おった!
「今、終わりましたー」
って言ったら
「食事しましょうー」
って言ってくれて、いっしょに近くのレストランに行った。
リュカ・マルタンさん。
1時間ほど話をして、同じ京都行きの電車に乗って帰った。
うちは京都の手前で電車をおりて家に帰った。
リュカさんは京都まで、そのまま電車に乗って行かはった。
家に着いたら、お姉ちゃんいたから
「お姉ちゃん、アルルの闘技場で出会った、フランスの人と百貨店で会ったでー」
って話をした。
「えっ?なにそれ?」
「毎週、売り場に来てくれてはるフランスの人おってな!その人、アルルで日本の女の子の、えま・しらくまさんと会ったって言ってて、お姉ちゃんやないの~って、ほんま、びっくりしてもうたわっ!」
お姉ちゃんもびっくりしてた!
「ほんまに日本に来てたんやなーっ!行きたいって言ってたからなー!」
「お姉ちゃんにもらった、あのアルルの風景画を描いた人なんやろっ?」
「そうやで!リュカ・マルタンくん!当時、高校生みたいやったでー!めっちゃ可愛かった!」
「たしかにリュカ・マルタンさんって言ってはったわ」
それから、しばらくして、リュカっちと、ミュージカルに行ったり、映画に行ったり、ライブに行ったりと、デートするようになった。
うちは、売り場での仕事を評価してもらえて、各売り場から1名表彰されて、うちも選ばれて、なんとパリへの研修旅行に行けることになった。
家族で誰かひとり同行できることになったから、うちはリュカくんと行くことにした。
お姉ちゃんやママ、パパには、新婚旅行を兼ねてって説明した。
つまり...旅行から帰ってから、うちはリュカくんと結婚した。
うちは、りお・マルタンになった。
ママもパパも、国際結婚するのは、えまお姉ちゃんのほうやろなーって思ってたみたいやったけど。
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