水泳教室

ボクはニースの高校を無事卒業した。ニースの気候を愛して、フランスって国を愛して、美術を愛して、高校生でも絵をいっぱい描いてきた。

でも、ちっちゃな頃から見てきた日本のアニメも好き。

だから日本も好き。

日本にも行ってみたい。住んでみたい。

暮らしてみたい。

それで高校を卒業して、日本に留学することにした。

なんとなく、関西にしようかな~って思った。

奈良もあるし、京都もあるし、琵琶湖も和歌山も、神戸や姫路城も、それから大阪って街もあるし。

高校生の時にアルルの闘技場で出会った日本の女の子も、たしか大阪って言ってたし。

だから、関西に行こうって決めた。

そして京都の大学に留学することにした。


ニースの家族にも、日本に行くことを話した。

家族も日本のことは好きみたい。だから了解してくれた。

ニースも、あたたかい土地で、めっちゃ良きところ。

ニースも離れたくない気もする。

でも、また帰って来るにしても、1度くらいは日本で暮らしてみるのも良いかな~って思って。

そして、京都で暮らしはじめた。


家は二条城のすぐ近くで、ホームステイ。

大学のほうで紹介してくれた。

家の人も、ボクの通う大学の卒業生なので、ボクのことも子どものように接してくれている。

毎日の料理も、和食でとても美味しい。

部屋も、たたみの日本家屋。

とても快適に暮らしていけてる。


大学では日本語を学び、それから日本の歴史や文化を広く学んでいる。ボクの好きな美術や文学なども。

大学のサークルでギターを弾いている。

京都の風景を絵に描いたりもしている。


☆☆☆☆☆


ボクの3年生の夏休み。

夏休みに合唱団の合宿あった。合宿に出かける時も、空里は、ボクやイレーヌちゃんといっしょに合宿に行きたがってた。

集合場所にまで着いて来てた。

でも、空里は、まだ幼稚園で、合唱団に入れないから、ママも、ボクの合宿の間に、空里を水泳教室のほうに連れて行った。


海の深いところまでボートに乗って行って、そこから海に飛び込んで、コーチに泳ぎを習っていた。

きれいな海に行って習いはじめたら、空里は合唱団の合宿のことも忘れて、水泳教室のほうを楽しんでるみたい。

毎日、めっちゃ嬉しそうに水泳教室に通っているらしい。

水泳教室のおかげで、空里はめっちゃ水泳うまくなった。めっちゃきれいに飛び込んでいる。

合宿から戻って、空里といっしょに海に泳ぎに行った。

海に着くなり、空里は、高いところから勢い良くジャンプして、めっちゃきれいに飛び込んでいる。

そして海の中で、めっちゃきれいに泳いでいる。

それから、また高いところに行って、勢い良くジャンプして、海にザブーンと、めっちゃきれいに飛び込んでいる。

ジャンプした瞬間、いつもチラッとボクのほうを見ていて、ドヤ顔をしている。

「あやめっちは、こんなに、きれいに飛び込めないでしょ~」

って言ってるような顔をボクに見せている。


☆☆☆☆☆


梅田に行くことあって、駅前の百貨店に入ってみた。

せっかく来たから、なんか買って帰ろう!って思って、下着売り場に行こうとした。

あっ!下着売り場だーっ!って思って、行ってみたら、レディースの売り場だった。


可愛いものは好きだし、せっかくだから、ちょっと見てみようかなーって思った。

アディダスとかの下着でも買おうかなーって。


売り場をちょこっと、くるくる回って、いろいろ見ていたら、百貨店の制服を着た、めっちゃ可愛い女の子いた。


ボクはニースに住んでた頃から、日本のアニメも見ていて、アニメに出てくる日本の女の子の制服って、めっちゃ可愛いなあ~って、いつも思っていた。


百貨店の制服を着た女の子も、制服めっちゃ似合ってて可愛かった。

この前まで、まだ女子高生だったみたいな可愛い女の子。

女子高生の制服も、めっちゃ似合ってそう。

そう勝手に妄想しながら、その女の子を見ていたら、その子もボクに気付いて、ボクのほうにやって来た。


「ボンジュール」

って可愛い声で、ボクに言っていた。

めっちゃ可愛い声。

ボクは、なんで、フランス人ってわかったんだろう?って思ったら、おかしくなって、つい笑ってしまった。

「どうか、されましたか?」

って言ってる声も、めっちゃ可愛い。


ボクは

「いえ、なんでボクのことフランス人だって、わかったのかなあ~って思って...」

って言ったら

「あっ!...そういえば...なんとなく...です」

って顔を真っ赤にして照れていた。

うわー!めっちゃ可愛いーっ!って思ってしまった。


「なにか、お探しですか?」

って可愛い声で聞かれて、こんどはボクもちょっと恥ずかしくなって、紅くなったみたいだった。

「プレゼントか何かでしょうか?」

って可愛い声で聞かれて

「あっ!はいっ!妹の...プレゼントに...送ろうかと...思いまして...」


「あっ!妹さんのプレゼント用なんですね?アディダスとかのスポーティーな下着をお探しなんですか?」

「えっ?あ、はいっ!そうなんですっ!アディダスとか好きなので...」

「それでしたら、こちらにいろんなタイプのアディダスの下着、あります」

って、めっちゃ可愛い声で、見せてくれた。

「あ~!良いですね~」

ボクはアディダスとかも好きだし、ほんまにカッコ良いデザインのもの、たくさんあった。

自分でも欲しくなったから、自分でも着れそうな下着を1枚買った。

「ラッピングしましょうか?」

って可愛い声で聞かれて、ほんまは必要なかったのに

「お願いします」

って言ってしまった。


女の子から下着を受け取って

「ありがとうー!」

って言ったら

「メルシーボークー」

って言ってくれた。めっちゃ可愛い声で。


それから1週間後、また、あの女の子に会いたくなって、梅田の百貨店まで行ってみた。

また会えるかなー?って思いながら。


同じ売り場に行ってみたら、あの女の子、やっぱり、またいた!制服めっちゃ可愛い。めっちゃ似合ってて可愛い。


「あっ!いらっしゃいませー!」

って、ボクを見つけると、ボクのところに、すぐ来てくれた。

「今日は自分用ですー」

って言って、アディダスのカッコ良いデザインのものを1枚買った。


「ありがとうー!」

って言ったら

「メルシーボークー」

って、また言ってくれた。めっちゃ可愛い声で。


帰りかけていたら

「しらくまさ~ん」

って、たぶん先輩の女子に声をかけられていた。


しらくまさん?...アルルで会った日本の女の子も、たしか、しらくまさんって言ってたなー!って、自分の高校生の時のことを想いだした。

日本って、しらくまさんって、結構多いんだろうか?って思った。


それから、1週間後も、また、あの女の子に会いたくなって、梅田の百貨店までまた行った。

今日もまた、あの女の子に会えるかなーって、ちょっと、いや、かなりドキドキしながら。


同じ売り場に行ってみたら、またあの女の子いた!

こんどは、ボクのほうから

「こんにちは~」

って言ってみた。

「あっ!こんにちは~!いらっしゃいませー!」

って言ってくれた。めっちゃ可愛い声で。


この日も、ボクは、アディダスのカッコ良きデザインのものを1枚買った。

「今日も自分用です!」

ってボクのほうから先に言った。

「あっ!それから...」

「はい?なんでしょうか?」

「最初の日に買ったのも、妹のプレゼント用ではなくて、自分用なんです...」

「あっ!そうなんですね」

「アディダスの可愛いのも、めっちゃ好きなので...」

「わかります!わたしも好きですから」


「おおきにー」

って大阪弁で言ってみた。

「メルシーボークー」

って、その女の子は、フランス語で言ってくれた。めっちゃ可愛い声で。







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