オルセー美術館

高2の夏休みに、お姉ちゃんから絵をもらった。

お姉ちゃんはニースに行ってきた。

おみやげにフランスらしいものをたのんだら、めっちゃフランスらしい、きれいな風景画をおみやげにくれた。

部屋に飾ってある。

お姉ちゃんは、この絵を描いた子に、この風景画を直接もらったらしい。

ええなあー!うちも、いつか、この絵を描いた画家さんに会ってみたいなあー!


☆☆☆☆☆


マーリアちゃんイレーヌちゃんといっしょにオルセー美術館によく行く。

「ヴィーナス誕生」の絵をよく3人で観に行ってる。


マーリアちゃんはクラシックバレーもやっている。

だんだん上達してきて、バレーのほうを中心にして、やっていくみたいだ。

だから、マーリアちゃんは少年少女合唱団のほうもやめて、今はクラシックバレーに専念している。

マーリアちゃんのバレーの公演のある時には、イレーヌちゃんとボクとで、公会堂とかに観に行っている。


合唱団にはイレーヌちゃんとボクと、ふたりで参加している。

フランス国内のいろんな場所に遠征して、公演をおこなってる。

小2の夏休み。ニースの定期公演に行くことになった。ママもいっしょに。

パリの空港に、パパと空里も、お見送りに来てくれた。

空里も

「わたしも合唱団、あやめっちといっしょに行きたいー!」

って言ってる。

「空里は、まだちっちゃいから合唱団には入れないのよー」

ってママも空里をなだめている。

「あやめっちとママ、バイバ~イ」

「空里とパパ、バイバ~イ」

「あやめっち行ってらっしゃ~い!ニースのおばあちゃま、おじいちゃまによろしくねー」

「うんっ!わかったー!」

パパに抱っこされてる空里に手をふった。

空里もめっちゃ手をふっている。

飛行機はパリからニースへ旅立った。


海沿いのちっちゃな可愛いホテルに合唱団のみんなと先生と泊まった。

ホテルに入ったら、ロビーに、めっちゃ可愛い雰囲気の、きれいな風景画いっぱい飾られてある。

イレーヌちゃんも、それらの絵に気付いて

「あーっ!あやめっち!ほらーっ!」

って、ロビーの絵を指差した。

「うんっ!めっちゃ可愛い絵だよねー!ボクもなんか、この絵、好きだー!」

「なんか、あやめっちの家にあった絵に風景画めっちゃ似てるねー」

「えーっ?そう言われれば、たしかに、なんか、家にある絵とめっちゃ似てる気するねー」

「同じ画家の絵なのかなー?」

「そうなのかなー?ちょっとママに聞いてみる!」

ボクはママに

「ちょっと来てー!」

って離れたところにいたママを呼んだ。

「えーっ?なにー?どうしたのー?」

「ねえ、ママ!ここにある絵って、なんだか、家にある絵にめっちゃ似てるね!」

「えっ?ほんまや!たしかに、なんか似てるねー」

「家に飾ってある絵って、誰の絵?」

「あれはパパの描いた絵やで!」

「えーっ?パパの描いた絵やったんやー?」

「そうやで」

「それは知らんかった」

「パパ、高校生の時に描いた絵!」

「えーっ?高校生の時にパパ描いた絵なん?」「そうやで」

「それは知らんかった」


「でも家にあるパパの描いた絵と、ここのホテルに飾られてる絵、なんか、めっちゃ似てるなー」

「そやろー!」

「もしかして、このホテルの絵を描いたんも、パパやったりして」

「えーっ?そうなんかも?」

「ちょっとロビーのお姉さんに聞いてみるか!」

ママはロビーのお姉さんのところに行って

「このホテルに飾られてる絵、めっちゃ良いですね~」

「ありがとうございます」

「描いた画家さんのお名前って、わかりますか?」

「えっと...ちょっと待っててくださいね」

ロビーのお姉さんは、事務所のドアを開けて部屋の中に入って、しばらくして戻ってきた。

「お待たせしました。リュカ・マルタンって方の作品のようです」


「ありがとうございます。リュカ・マルタンさんなんですね」

「パパやんっ!」

「やっぱパパの描いた絵やったのかあああ」


イレーヌちゃんも

「やっぱり、あやめっちのパパの描いた絵だったのかー」

ってびっくりしてる。


ホテルの近くにある、パパのおばあちゃま、おじいちゃまの家に、ママと行った。

「あらまあ!あやめっちとりおさん!いらっしゃいー!今日は、うちに泊まれば?」

それから、パパの描いた絵をいろいろ見せてくれた。

ちっちゃい頃から高校生の頃までに描いた絵をいっぱいまだ置いてある。

「パパ、絵うまいねー」

「そうだねー」


次の日は、ニースで少年少女合唱団の定期公演に出て、イレーヌちゃんといっしょに歌った。


パリに戻って、パパに

「ニースのホテルにパパの描いた絵、いっぱい飾られてあったよー」

って言った。

「あははは、まだあったのか!」

って、めっちゃ嬉しそうに笑っている。

「うんっ!めちゃめちゃ可愛くて、きれいな風景画やった」

「そーやろー!」

「ちっちゃい頃から描いてた絵もいっぱい見せてもらったよー」

「まだあったのか!」

「めっちゃうまいねー」

「そーやろー!」

「何枚か、もらってきたよー」

「うわっ!めっちゃなつかしい...」


夏休みのある日、ロンドンからジェニーちゃん、遊びに来てくれた。

「あやめっち!ひさしぶりー」

「うわー!ジェニーちゃん」

「あやめっちー!パリのピアノコンクールに出場するために今日はパリに来たんだよー」

「えーっ?まじかー?ピアノコンクール?ジェニーちゃん、すごいなー」

「えへへ、小学生低学年の部だよー」

「うわー!」

「ロンドンの小学生低学年の部の代表なんだよー」

「うおー!さすがジェニーちゃん」

イレーヌちゃんも誘って、ジェニーちゃんのピアノコンクールを観に行った。

ジェニーちゃん、ショパンを弾いていた。

小学生低学年の部、最優秀賞をジェニーちゃん、とっていた。


コンクール終わってジェニーちゃんに会いに行った。

「ジェニーちゃん、すごいねー!」

「ありがとうー!あやめっち見てくれてたおかげかな?」

「ボクもまたピアノ弾きたくなっちゃった!」


それから、ジェニーちゃん、イレーヌちゃん、ボクとでオルセー美術館に行った。

好きな「ヴィーナス誕生」の絵を観に行った。

「うわー!めっちゃきれいな絵!」

「そうでしょー!ジェニーちゃんにも、ぜったい見せたかったんだ!」

「なんだかピアノを弾きたくなってくるような絵だねー」

「ジェニーちゃんのピアノの演奏と、めっちゃ合いそう」

ジェニーちゃんはロンドンに帰っていった。


その数日後、さよりんもロンドンから会いに来てくれた。

「あやめっちー」

って言って、ボクのことを優しくギュッと抱きしめてくれた。

「うわっ!昔のさよりんのままだー!めっちゃなつかしいー」

イレーヌちゃんも、さよりんに会わせた。

「あっ!さよりん!」

やっぱり、イレーヌちゃんは、さよりんのこと知っていた。

さよりんも

「あっ!イレーヌちゃん!あの時は、ありがとうー!」

って、やっぱり、さよりんもイレーヌちゃんのことを知っていた。

さよりん、イレーヌちゃん、ボクとでオルセー美術館に行った。

好きな「ヴィーナス誕生」の絵を観に行った。

さよりんは、絵の前で、絵を観ながら、ボクをギュッと優しく抱きしめてくれた。

さよりんも5年生になってたから、めっちゃ大きな女の子になっていた。

「この絵のヴィーナス、さよりんみたい!」

って言ったら

「きゃあああ、あやめっち、いつ見たのー?」

って、めっちゃ紅くなっていた。

「さよりんに、めっちゃ似てるよねー」

ってイレーヌちゃんに言ったら

「うんっ!めっちゃさよりんに似てる!このヴィーナスさん!それで、さよりんにも、この絵を見せたかったんでしょー?」

「そうかも!世界中で、いちばん、さよりんに似てるかも」

さよりんは、空港でボクのことをしばらくギュ~ッと抱きしめて、ロンドンに戻っていった。


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