少年少女合唱団

小学校の音楽の時間に、音楽のリナ先生

「今日は課題曲をひとりづつ前に出て歌ってね~」

って言ってる。

みんなに1枚づつプリントを配って

「この曲を今からみんなで練習して、そのあと、ひとりづつ歌ってもらいますからね~」


「やったあ!面白そう!」

そう思ったボクは、マーリアちゃんとイレーヌちゃんのほうを見てみたら、ふたりも、なんだかめっちゃ喜んでいる。


リナ先生も、喜んでいるボクやマーリアちゃんやイレーヌちゃんのことを嬉しそうに見ていた。


リナ先生はピアノを弾きながら、まず最初に自分で、その課題曲を歌ってくれた。


「うわ~!なかなか可愛い曲だあ~」

って思って、マーリアちゃんとイレーヌちゃんに

「可愛い曲だね~」

って言ったら、ふたりも

「うんっ!可愛い~」

って先生の歌を聞いている。


「じゃあ、ちょっとづつ、みんなで歌っていくよ~!みんなで練習していくよ~」

ってリナ先生に言われて、最初の部分から、リナっちの歌を真似して、歌っていった。


1曲ぜんぶ、一通り練習し終わってから、ひとりづつ前に出て、今習ったばっかりの曲を順番に歌っていった。


ボクはこういうの、めっちゃ好きだから、喜んでみんなの前に出て行って、リナっちに習った曲を嬉しそうに大きな声で歌った。

マーリアちゃんもイレーヌちゃんも、ボクと同じように、めっちゃ面白そうに歌っていた。


クラス全員、歌いおわって、リナ先生に

「マーリアちゃん、イレーヌちゃん、そしてあやめっちは、少年少女合唱団に先生のほうから推薦したいので、もし、入りたい希望あれば、先生に言ってきてくださいっ!」

って言われた。


マーリアちゃんとイレーヌちゃんとボクは3人で、いつもみたいに集まって

「合唱団どうする~?」

って、ふたりに聞いてみた。

「わたしは入るよー」

「わたしもー」

って、ふたりとも入る気、満々だったから

「じゃあ、ボクもー」

って、3人で入ることにした。


3人でリナっちのところに行って

「3人とも入りたいですー」

って言ったら

「わっ!ほんとー?良かったわー!3人とも、初めて聴く曲なのに、めっちゃ楽しそうに歌ってくれてたから、それを見て、決めたのよー!っていうか、本当は、即興で歌える能力を見たんだけどねっ」


「可愛い曲ですね~!誰の曲なんですか~?」

ってリナっちに聞いてみた。

「昨日の夜、先生、作詞作曲したのよ~」

「えーっ?リナっちの作った歌だったんですかー?」

「そうよー!」

「めっちゃ可愛くて良い曲~」

「ありがとうー!合唱団の先生に、3人を推薦しときますからねー」


「なんてタイトルの曲なんですかー?」

「えっとねー、『おじゃ魔女合唱団』っていう曲」

「ええーっ?」


パリの少年少女合唱団にマーリアちゃんとイレーヌちゃんといっしょに入ることになった。


☆☆☆☆☆


ママのダンスグループは日本大会のグランプリを受賞した。

次の年、うちは女子高を卒業して女子大に進学することにした。

夏休みになって、ママのダンスグループは世界大会に出場するためにニースに行く。

家族でひとり同行できるので、うちか、妹のりお、どっちにするかで、ずっと戦ってきていた。

「お姉ちゃん、行ってきな!」

って急に、りおは言ってくれた。

「えーっ?ええのー?」

「ええよー!お姉ちゃん行ったらええって、ずっと思ってたんやから」

「そうやったんや」

「うんっ!でも、もしか、お姉ちゃん、行かへんのやったら、うち、行こうって思ってたけどなっ!」

「あ、そうなんや!ありがとう」

「ええよー!うちは、去年サンフランシスコに行ったしな」

「じゃあ、ママのダンスグループといっしょにニース行ってくるわー」

「ええなー!ニース!うちも、ほんまはめっちゃ行ってみたい!でも、ええわっ!なんか、おみやげ待ってるなー」

「うんっ!わかった!フランスらしいやつ、ニースらしいやつなっ」


そしてママたちといっしょにニースに旅立った。

パリ経由で、フランスの国内線の飛行機に乗り換えて、ニースの空港に到着した。

ホテルは海の近くの、ちっちゃな、めっちゃ可愛いホテル。

ロビーには、ちっちゃなホテルに相応しい、めっちゃ可愛い雰囲気の絵も飾られてある。


ママといっしょに部屋に入ったら、部屋の壁にも、めっちゃ可愛い絵、飾られてある。

「やっぱりフランスやな~!やっぱりニースやな~!ホテルにも、可愛い絵いっぱい飾られてある!」

「ほんまやな~!ちっちゃな海沿いのホテルに、めっちゃ似合ってるな!」

「ほんまやわ~!めっちゃ可愛い雰囲気の風景画」

「描いたん、どんな画家さんなんやろな?有名な画家なんかな?」

「ちょっとロビーの人に聞いてくるわっ!」

うちは、部屋を飛びだして、ロビーに降りていった。

ロビーのお姉さんに

「あの絵、ナイス!」

って言ったら

「メルシーボークー」

って答えてくれた。

「画家は?」

って聞いてみたら

「ニースの地元に住んでる高校生の画家ですよ」

「ええーっ?高校生?すごいー!きれいー!めっちゃきれいな風景画!ホテルによく似合ってますー」


次の日、ママたちはダンス大会に出場した。

うちも会場に観に行って応援した。

ママたちは審査員特別賞をもらっていた。


その日は日曜日。

うちは、ひとりで、なんとなくアルルのほうに行ってみた。

なぜだか、闘技場の中に入って、座って、あたりの景色をながめていた。


「こんにちはー」

って、ちょっと離れたところから、日本語、聞こえてきた。

なんだろう?うちに言ってるのかな?って思って、声のするほうを見てみた。


そしたら、たぶん、フランス人らしき、可愛い男の子、うちに向かって、めっちゃ手をふってくれている。


うちも立ち上がって、両手をあげて

「こんにちはー」

って言いながら、その子に手をふってみた。


そしたら、その子、ピューッてめっちゃ嬉しそうに、うちのところに走ってきた。

「日本人?」

って日本語で聞いてきた。

「そうですよ」

「日本のどこから?」

「大阪です」

「うわ~!大阪知ってます。京都の近く?」

「そうですね」


それから、その子は描いてたアルルの風景画をうちに見せてくれた。

「うわー!トレビアン」

って言ったら、喜んでくれて

「おおきに!」

って大阪弁で返してくれた。


そして、その子は

「リュカ・マルタンです」

ってあいさつしてくれた。

「うちはえま白熊です」

って言ったら、白熊のフランス語を教えてくれた。


リュカくんは、うちにアルルの風景画を1枚プレゼントしてくれた。

めっちゃきれいな風景画。


そして、リュカくんと手をふって、わかれて、うちはニースのホテルに戻った。

ママに絵を見せたら

「うわっ!めっちゃきれいな風景画やんっ!」

「そやなー」

「なんとなく、このホテルに飾られてある絵にも似てるねー」

「ほんまやなー!」

「ホテルの絵を描いた子やったんちゃうの?」

「ええーっ?そうなんかなー?ほんまに?ほんまにそうやったんかなー?」

「ロビーの人に聞いてくれば?」

「そやなー」


うちは、絵を持って、ロビーに降りて、お姉さんに聞いてみた。

「この絵をアルルでもらった」

ってフランス語で言ったら

「うわっ!リュカくんの絵?!」

ってびっくりしている。


「リュカくん?」

って聞いてみた。

「ウイッ!リュカ・マルタン!ホテルの絵を描いてくれた!」

「えーっ?たしかリュカ・マルタンって言ってた!」


うちは部屋に戻って

「やっぱり、ホテルの絵を描いた子やったみたいやわー」

ってママに言った。

「そやろなー!雰囲気めっちゃ似てるからなー」

「うわー!ええもん、もらったわー」

「良かったやんっ」

「うんっ!」


大阪に戻って、りおにニースのおみやげとして、リュカくんの絵を渡した。

りおも

「うわっ!めっちゃきれいな風景画」

って喜んでいる。

いちばんフランスらしいおみやげやからな~。

うちはニースにも行けたし、りおにおみやげとして、あげれば良いかな!って思って。



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