女の子みたい

サンフランシスコから大阪に戻って、パパにおみやげのギターとアクセサリーを渡した。

「おおーっ!めっちゃええギターやんっ!ちっちゃい頃から、ずっとパパの弾いてるところを見てきて、欲しかったやつやーっ!」

「そうやったんや」

「そうやでー!あとアクセサリーもめっちゃええやんっ!ママらしい雰囲気の感じられる良きアクセサリーやなーっ!」

「ほんまに?」

「うんっ!アクセサリーめっちゃあったやろ?」

「あった!店内の壁や天井まで、ところ狭しとアクセサリー飾られてあったで」

「そやろなー!ママは家でも、そうやったからなー」

「家でも?」

「めっちゃアクセサリー集めてて、ママの部屋いっぱいになってたもん」

「そうなんや」

「それでアクセサリーのお店やり始めたんやからなー」

「へぇー!お客さんも、ようけ来てたで」

「そやろなっ!ママはええ感性を持ってるからなー」

「うんっ!わかるわっ!めっちゃ良きアクセサリーばっかりやったわ」

「せやろ?」

「なんでサンフランシスコでお店やってはるん?」

「サンフランシスコの街のこと、好きなんやろなー」

「そっかー」

「サンフランシスコも、ええ街やったやろ?」

「うんっ!めっちゃええ街やったわ!ええ雰囲気の港町で」

「そやなー!シーフード料理も、うまいしなー」

「ほんま、それなー」


「ママとパパもサンフランシスコで結婚式をあげたんやからなー」

「ええなーっ」

「そのあとディズニーにも行って、それで、えまとりおも生まれたんやから」

「その時は、お姉ちゃんやろ?うちは、もうちょっとあとなんやから」

「あっ、そっか」

「うちも海外で結婚式あげよかなー」

「あははは」

「外国人と結婚しよかなー!国際結婚」

「いいね」

「お姉ちゃんなら、ぜったいやりそうやわ!国際結婚」

「そかな?」

「うんっ!ぜったい外国人と結婚するでー!お姉ちゃん」

「あははは、りおも、そうするか?」

「うーん?うちは、まだよくわからへんわ」

「そうかー」

「でも外国の人を好きになったら、うちも、その人と結婚するかもなー」

「おおーっ!ええんちゃうかー!」

「そやろー」

「うんっ!今、海外でも、日本のこと好きな人いっぱいいてはるからなー」

「ほんまそれなー」

「りおかて、外国の人に惚れられるかも」

「えーっ?そかなー」

「パッと一目りおのこと見た人に一目惚れされるかもよー」

「そかなー?でも、お姉ちゃんなら、そんな気するわー!なんとなく」

「あははは、たしかに!えまは、なんか、そんな感じするよなー」

「うんっ!するする!」


2Fから、お姉ちゃん、降りてきた。

「あっ!りお、おかえりー」

「お姉ちゃん、ただいまー」

「サンフランシスコどうやった?」

「めっちゃええとこやでー」

「そやろなー!りお、外国の人と結婚するん?」

「それは、お姉ちゃんやろなって話を今してたとこやねん」

「あははは!うちも、はよフランスにでも行ってみよ!」

「お姉ちゃん美術好きやから、フランス似合ってるから、フランス人とか、ええかもなー?」

「そやろ!」

「うんっ!ほんまに、お姉ちゃんなら、フランスの人と結婚しそうやもんな」

「ええなー!フランス人!はよフランス行って、フランスの人と結婚してフランスで暮らそかな」

「はよ、そうして!そしたらフランスに遊びに行くから」

「そやなー」


そしたら、玄関を開けて、ママも帰ってきた。

「ただいま~」

「ママおかえりー」

「あっ?りおもおかえりー!サンフランシスコどうやった?」

「めっちゃええとこやったでー」

「そやろなー!ママとパパもサンフランシスコで結婚式あげたんやから!またサンフランシスコみんなで行きたいなー」


「ママ、今日はママさんダンサーズに行ってたん?」

「そうやで!」

「ママもダンス好きやなあ」

「もうすぐ発表会やから、今日もみんなで練習してきてん」

「もう、だいぶ、うまなった?」

「みんな、ダンスうまい人ばっかりやから、もう、すごいもんやでー」

「ええなー!」

「りおも観に来てくれても、ええで」

「あっ、ママのダンス観てみたいわ」

「そやろ!日本大会でグランプリとったら、ニースの世界大会に行けるんやからな」

「ええーっ?ニースに行けんの?」

「そやでー」

「ええなー!ニース!行ってみたいわ」

「いっしょに行こなっ」

「グランプリとってな!」

「うんっ!わかった!」

「たのむでー」


「家族からひとり同行できるみたいやから」

「ほんまにー?」

「ほんまほんま」


「ニースやったら、行くの、うちやなっ!りおはサンフランシスコ行ってきたんやから、もうええやんっ」

「うちもニース行くー!お姉ちゃんは、ひとりでフランス1周にでも行ってきたらええやんっ」

「なんでやねんなっ!りおは留守番しとき」

「うちもニース行きたいー!お姉ちゃんは美術留学でフランス行ったらええやんかっ」


「えまでもりおでも、どっちでもええけども、ニース行き決まってからにしてくれるー?」

「そやな」

「ママ、グランプリとってくれんと!」


それからしばらくして、ママのグループはグランプリを受賞した。

来年の世界大会でニースに行くことになった。

いっしょに同行するのは、うちなのか、えまお姉ちゃんなのかは、まだ決まっていない。


☆☆☆☆☆☆


ボクは小学校でも女の子みたいだから、まわりのみんなも、ボクのことは女の子だと思ってくれている。

マーリアちゃんとイレーヌちゃんと、3人でいつもいっしょにいる。

イレーヌちゃんは、めっちゃ霊感の強い女の子だ。

ある日、学校で

「あやめっちのうしろに、いつも女の子いるよー」

って言ってきた。

「ええーっ?」

「さよりんっていう女の子みたいだよ」

「えーっ?さよりんなのー?」

「知ってる女の子なの?」

「うんっ!ロンドンにいた頃、いつもボクのこと優しくギュッと抱きしめてくれてた女の子!3つ年上の」

「そうなんだ」

「イレーヌちゃん、さよりんのこと見えるの?」

「うんっ!見えてるよっ」

「さよりん、何か言ってる?」

「えっとねー、引っ越しの時、あやめっちに会えなかったから、さびしかったって言ってるよ」

「うわーん!さよりんー!ごめんねー」


「あやめっちのこと、ぜったいに、ゆるさないって言ってるよ」

「うえーん!さよりん!ごめんねー!ボクも本当は会いたかったのにー」

「あっ!うそうそ!あやめっちのことは、ずっと大好きだよーって、あやめっちのことを見て笑ってるよ」

「えーっ?良かったー!ボクもさよりんのこと大好きなんだからー」

「ありがとうーって言ってるよ」

「ほんと?」

「うんっ!あやめっちに、そのこと言えたから、またロンドンに帰るねって言ってる」

「えーっ?ロンドンに帰っちゃうの?」

「いつまでも、ここには、いられないからーって」

「そうかー」

「また会いたいなーって」

「ボクもさよりんと会いたいー」


「バイバ~イ!あやめっち~って、あやめっちに手をふってるよ」

「うわー!さよりんバイバ~イ!またね~」

ボクも後ろに向かって手をめっちゃふってみた。

「ちょっとちがう方向だけど、さよりんも笑って、あやめっちに手をふってくれてるよ」

「うわーん!さよりん~!」


「あっ!さよりん、あやめっちのことを笑って見つめながら、フッと消えちゃった...」

「またね~!また会おうね~!さよりん~」


「さよりんも嬉しそうだったよ」

「すごいね~!イレーヌちゃん!さよりんのこと見えちゃうなんて」

「あははは、なんとなく、好きな子のまわりのものは見えちゃうんだっ!」

「そうなの?」

「うんっ!あんなに、はっきり、さよりんのこと見えたのは、そんなに、いつもはないんだよ」

「えーっ?でもすごいー!ありがとう!イレーヌちゃん!」

「さよりんに会えて良かったね」

「うんっ!そうだねー」




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